入試前日までに確認しておくことは大きく分けて、
①交通機関、②天気予報、③持ち物・服装チェックの3つです。
①まず交通機関に関しては、遅延などのトラブルも想定して、目的地に向かうルートを3つは確保しておきたいところ。第一志望以外の学校であっても、一度は下見して通学路を確認しておきましょう。
②受験シーズンは雪が降ることも珍しくないので、天気予報もしっかりチェック。気温が低くなりそうな場合は、子どもに帽子や携帯用カイロを持たせる、雪が降りそうなときは折りたたみ傘や予備の靴下を持たせるなどの準備まで前日に済ませておくと安心です。
③そして、前日の準備で最も気を配りたいのが、持ち物の用意です。親と子ども、それぞれが必要となるアイテムをすべてリストアップして、前日のうちに用意しておきましょう。
・受験票はクリアケースに入れておくと、折れ曲がったり、濡れてしまうなどのトラブルを防げます。午後入試も予定している場合は、各学校の資料一式を別々のファイルにまとめておくと、手違いを防げます。
・ほかにも、子どもが一番使い込んだノートを持たせるのもおすすめです。
試験前に内容を詳しくチェックする時間がなかったとしても、手書きの文字や計算がたくさん書き込まれているノートに目を通すことで、「こんなにがんばってきたんだから、大丈夫!」と、モチベーションを高めることが期待できます。
・一方、持ち物の準備で気をつけたいのが、親子の分類をしっかりしておくことです。
たとえば、受験票やお弁当などは、最終的には子どもに渡す持ち物です。
しかし、「校舎に入る直前に渡せばいい」と考え、試験会場で子どもと別れてから「渡すのを忘れた!」と気づく親が毎年少なからずいます。
受験票は前日のうちに子どもに渡し、お弁当を用意する場合も、朝、家を出る前には本人に持たせておいたほうがよいかもしれません。
受験シーズンもいよいよ本番。脳を十分に働かせ、試験で実力を発揮するには、睡眠リズムを朝型にすることが大切という。質のよい睡眠をしっかりとって、試験当日に備えよう。
起床は「試験3時間前」でペースづくり
入試前には、夜遅くまで勉強して生活が不規則になり、夜型の生活になっている受験生が多い。しかし、夜間の睡眠が足りていないと、昼間に眠気が増強し、頭が働かない状態になる。
睡眠の専門家である久留米大医学部神経精神医学講座の内村直尚教授は「午前中に行われる試験で実力を発揮するには、試験開始時間に脳が十分働く状態にすることが大事。そのためには睡眠と覚醒(かくせい)のリズムを整え、朝型にしておく必要がある」と指摘する。
内村教授によると、人間の脳や体がフルに活動を始めるのは、起きてから3時間後ぐらいから。このため、午前9時半に試験開始の場合は、遅くとも同6時半には起床していなければ、頭が十分働いていない状態で試験問題に取り組むことになってしまう。
また、睡眠には「記憶を固定させる」役割もある。勉強したことをしっかり頭に残すには、徹夜するよりも睡眠をとることの方が大事だという。
朝の日浴びて「体内時計」リセット
ただ、夜に寝ようとしてもなかなか寝付けず、結果として朝起きられない人も少なくない。
愛媛大医学部付属病院睡眠医療センターの岡靖哲センター長は「起床時に朝日を浴び、『体内時計』をリセットすることで、夜の寝付きがよくなり、睡眠の質も向上する」と話す。
体内時計とは、「時計遺伝子」の働きによる脳の機構で、睡眠やホルモン分泌など体のさまざまなリズムを調節する役割を担っている。
体内時計は約25時間のリズムで動いており、1日24時間のリズムに合わせるには、朝の光を浴びてリセットする必要があるという。「朝食を毎日食べる」「平日と休日の起床時間を一定にする」などの行動も、体内時計のリセットに役立つ。
昼寝は「10分程度」、30分以上は逆効果
睡眠リズムを整えるため、内村教授は昼休み時間の昼寝を勧める。午後2時から同4時は脳の活動レベルが下がるので、短い仮眠をとることによって疲労回復となるためだ。昼間に眠気が軽減して集中力や意欲が高まり、行動が活発化することで、昼と夜のメリハリがつく。その結果、夜の睡眠の質が高まるという。
昼寝で大切なのは、10分程度の浅い睡眠にとどめること。30分以上の昼寝は、深い睡眠が出現して体が重くなったり、眠くなったりし、逆効果となるので注意が必要だ。
内村教授は「昼寝が難しい場合、目を閉じてリラックスするだけでも効果がある。体内時計が正常に働けば、試験前夜もしっかり眠れ、すっきりした目覚めで試験にのぞめる」と話している。
夜のスマホ、光刺激は「リズム」崩す
人間が夜になると眠くなるのには、「メラトニン」というホルモンがかかわっている。脳の松果体と呼ばれる部分から分泌されるホルモンで、体内時計に働きかけることで、覚醒と睡眠を切り替え、自然な眠りを誘う作用がある。
メラトニンは、外が明るい昼間にはほとんど分泌されず、夕方以降暗くなってくると分泌量が増える。
ただ、夜のコンビニエンスストアの明かりやスマートフォンの画面など、夜の光刺激はメラトニン分泌を抑制し、睡眠リズムが遅れる原因になる。