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上智学院と栄光学園・広島学院などとの合併認可

2015.10.27


上智大学などを運営する学校法人「上智学院」(東京都千代田区)は21日、中高一貫校を運営する四つの学校法人と2016年4月に合併することについて文部科学省から認可を受けたと発表した。

        

 認可は10月15日付。いずれの法人もカトリックのイエズス会系で、その理念を共有し、連携を図るという。

 上智学院と合併するのは栄光学園(神奈川県鎌倉市)、六甲学院(神戸市)、広島学院(広島市)、泰星学園(福岡市)。新法人名は上智学院とし、他の4法人は解散するが、運営する中学・高校は上智大の付属校とはせず、独立採算による経営を原則維持する。



中高一貫校で「優等生」が優等生でなくなる理由


プレジデントから引用  2015.10.25


■私学ネットワークが個別教育を実現

 学力については、確実に公立のほうが多様性がある。逆に中学受験を経て入学してきた私立中学の生徒たちの学力は拮抗している。たしかにそこに私立中学生の弱点はあるかもしれない。

 自分と同じくらいの学力の人とのコミュニケーションは楽だ。同じような知識レベル、思考力の友達とばかり話をしていたら、そうでない人たちとの会話に違和感を覚えるようになるものだ。たとえば「なんでこんな簡単な問題がわからないの?  わからないことがわからない……」みたいなこと。

 しかし、生徒の学力が拮抗していることはメリットととらえることもできる。

 最近では公立の中学校でも、特に数学や英語に関しては習熟度別の授業を取り入れるようになってきている。学力が高い子にはそのレベルに合わせた授業が必要だし、遅れをとっている子にはそれなりの手当てをしてあげないといけないからだ。

 その点私立中学においては、首都圏約300の私立中学全体が1つの習熟度別学習システムのように機能しているといえる。中学入試というフィルターを通してそれぞれの生徒がそれぞれに適した学校に収まるようになっているのだ。

 中学入試というフィルターが、単に学力レベルだけを見極める機能を果たしているわけではなく、子供の個性までをも見抜こうとしていることは、拙著『名門中学の入試問題を解けるのはこんな子ども』(日経BP社)に詳しい。

 現在子供の学力や個性に応じた個別教育の重要性が訴えられているが、少なくとも首都圏約300の私立中高一貫校は、300校の集合体全体として、子供たちの学力と個性に応じてかなり細かくセグメントされた個別教育を実現するしくみだといえるのだ。詳細は拙著『進路に迷ったら中高一貫校を選びなさい』(ダイヤモンド社)を参照いただきたい。

 生徒たちの学力が拮抗していることは別のメリットももたらす。

 もし学力に明らかな差があれば、教室の中で、「あいつは頭がいいやつ」「あいつは頭が悪いやつ」という固定概念ができあがるだろう。少なくとも学力の面においては、文字通り、偏差値基準でヒエラルキーができあがる。

 しかし、学力が拮抗していればこそ、「くっそー、今回のテストでは負けたけど、今度こそ負けないぞ! 」みたいな健全な競争が生じる。あるいは、「あいつには数学ではかなわないけど、英語では負けない」というようなことが頻繁に起こる。そしてお互いの得意分野をお互いに認め合う文化が生まれる。「数学のことなら、あいつに聞こう」「英語のことなら、あの子だ」など。これこそ本当の意味で多様性を認める文化といえるのではないだろうか。


■リーダーもフォロワーも経験する

 生徒たちの力量が拮抗しているからこそのメリットはまだある。部活、学校行事などで、誰がリーダーになってもおかしくはない。「文化祭ではAさんがリーダーだけど、運動会ではBさんがリーダー」というように、状況によってリーダーが変わる。リーダーが固定化しないのだ。

 あるときはリーダーとしてリーダーシップを学び、あるときはフォロワーとしてフォロワーシップを身につける。どんな組織にどんな立場で関わっても、自分のすべきことが自分で見つけられるようになる。

 特に女子校の場合、「生徒会長や応援団長は男」というような既成概念は絶対にない。男子校なら、部活でおにぎりを結ばなければならない場合でも、女子マネージャーがやってくれるというようなことはない。全部自分たちでやらなければならない。男子校・女子校では、「男だから」とか「女だから」という概念がないのだ。実は男子校・女子校はジェンダーニュートラルなのだ。

 男子校・女子校の教育的メリットについては、拙著『男子校という選択』および『女子校という選択』(ともに日本経済新聞出版社)を参照いただきたい。

 学力最上位に位置する中学に入学した場合、「小学校では常に一番だったのに、受験をしていい中学に入ったら平均以下の成績になってしまい自信を失うケースがある」といわれることもあるが、よく考えてみるとおかしい。中学受験をしている最中から、塾の模試を受ければ自分よりできる子がたくさんいることは知っていたはず。第一志望の名門校に入ればそんな子ばかりであることは最初からわかっているはず。そこで平均以下だからといって落ち込むことはないはずだ。

 しかしそれでも落ち込む子がいるというのは、子供本人の問題ではなくて親のせいではないかと私は思う。「こんな成績でがっかりだ! 」と親に叱られ続ければ、子供が自信をなくすのは当然だ。子供自身が勝手にショックを受けて勝手に自信をなくすということはまずないのではないかと私は思う。

 地元の小学校では常に一番だったのに、私立中学に入ったら一番ではなくなってしまうというのは、実は子供にとっては貴重な機会でもある。親が余計なプレッシャーさえかけなければ、の話だが。

 これまでずっと「優等生」でいなければいけなかったのに、中学に入ってからは「優等生」をやめられるのだ。常に一等賞をとらなくていいのだ。他人の目を気にせず、自分らしく好きなように振る舞うことができるのだ。

 学校は勉強だけをするところではない。仮に成績上位になれなくても、部活では活躍できるかもしれない。行事の仕切り役として手腕を発揮するかもしれない。クラスのムードメーカーとしてなくてはならない存在になれるかもしれない。そうやって「優等生」が新たな自分を発見することができるのも、難関校に通うメリットなのだ。

 (教育ジャーナリスト おおたとしまさ)

女子校出身者ならではの特徴「男性に対しては両極端」


雰囲気や人との接し方で、なんとなく「この子、女子校出身っぽいな」と思うことはありませんか? 一見華やかに見える女子高ですが、女子だけで学生生活を送ってきただけあって、共学とはまたちがう特徴を持っていることも多いようです。女子校出身者ならではの特徴を、社会人の女性に聞いてみました。



■女子同士で盛り上がる

・「女子会が大好き。私がそうです」(31歳/建設・土木/事務系専門職)

・「女同士で群れるのが得意。人の悪口やうわさ話が大好き。女ばかりの環境に居たため、いざこざになれている感じがするから」(34歳/商社・卸/事務系専門職)

女子校は毎日が女子会。女子同士のコミュニケーションは彼女たちにとっては生きるエネルギーそのものです。友だちの同士の近況報告は欠かさず行い、男性が入り込む隙を与えません。何でも話せる女子同士の居心地の良さは捨てられませんよね。



■下ネタ耐性が抜群に強い

・「下ネタに無駄に強い。女性しかいない空間だとエグい話題とかも平気で教室とかでしたりしているから」(32歳/不動産/専門職)

・「生理の話を恥ずかしがらずにやる。生理なんて日常だから」(32歳/情報・IT/秘書・アシスタント職)

男子の目を気にしなくていいがゆえに、つい大胆になってしまう女子校での下ネタ。その癖が社会人になってもやめられずにいる女子校出身者も多いようです。男性が「ちょっと言い過ぎたかな」と思うような際どい下ネタにも、気後れすることなく乗ってきます。



■妙にたくましい

・「実は性格が男勝り。やはり女同士を勝ち抜いている人は男よりも強い」(27歳/生保・損保/秘書・アシスタント職)

・「男子に頼らずに女子だけでなんとかしようとする」(30歳/人材派遣・人材紹介/秘書・アシスタント職)

頼るべき男子がいない環境で学生生活を送った女子校出身者の中には、強いリーダーシップを発揮する人もいます。ときには男性よりもメンタルが強い場合もあり、その統率力に舌を巻くこともあるでしょう。



■男性に対しては両極端

・「男女の友情は成立しないと思っている。そこまで仲良くすることがなかったから」(30歳/生保・損保/営業職)

・「異性に大胆または臆病どちらか」(35歳/機械・精密機器/秘書・アシスタント職)

基本は男性慣れしていない女子校出身者。ですが知らないからこそ大胆になれるという一面もあります。特に社会人になってからは女子高出身であることをウリにして男性と積極的に接触を試みる人もいるので、女子高=恋愛に奥手というわけではなさそうです。

昨今は、少子化の波もあり、共学化が進んで女子校の数は減ってきていると言われています。そんな中、女子校出身者の個性は、貴重かもしれませんね。


※『マイナビウーマン』にて2015年8月にWebアンケート。有効回答数202件(22歳~39歳の働く女性)



「森塾」などのアルバイト講師がブラックな労働環境を告発

2015.9.18


 学生アルバイトにサービス残業をさせたり長時間労働を強いたりする「ブラックバイト」が、社会問題として深刻化している。弁護士やNPOも加わる「ブラック企業対策プロジェクト」が昨年7月、全国の27大学に通う学生に調査したところ、職場で「不当な扱いを受けた」と答えた学生は7割弱に達した。

 さらに今年3月、厚生労働省が全国の労働基準監督署の指導実績を調べたところ、学習塾業界のブラックな実態が浮かび上がった。講師の学生アルバイトらに授業前後の準備時間に対する賃金を支払わないなどの法令違反で、是正勧告を出したケースが複数あったのだ。


●賃金不払い

 個別指導塾「森塾」のアルバイト講師Aさんは8月24日、労働組合・個別指導塾ユニオンを通じて、運営会社の湘南ゼミナールに団体交渉を申し入れた。Aさんは私立大学1年の男子学生(19)で、今年3月から神奈川県内の教室で働き始めた。出勤するのは、ミーティングや準備のためにいつも授業開始の20分前。授業の合間や授業の後も、生徒の見送りやミーティング、報告書記入などが義務付けられている。1日6時間以上働く日もあるが、まったく休憩が取れない状態だ。日によっては15時頃から22時過ぎまで、何も食べずに働くこともあるという。

 授業をするには資料作成やコピーなどさまざまな準備が必要だが、授業時間以外に対しては給料が支払われていない。バイト代は授業1コマ80分当たり1500円だが、そうした不払いの時間まで入れて時給計算すると、「神奈川県の最低賃金を下回ってしまうのではないか」(総合サポートユニオン執行委員・青木耕太郎氏)という。

 小学生は1コマ45分授業だが、その賃金がいくらなのか、正式な契約書がないために正確にはわからない。「80分1500円から1分当たりのバイト代を算出して、その45分ぶんではないか」とAさんは話す。さらに、深夜割り増しがなく、補習授業へのバイト代も一部不払いになっているという。

「私自身が中学から高校まで4年間、森塾に通ったこともあって思い入れがあり、バイトを始めました。ブラックな実態に気づきましたが、やりがいを感じて働いています。友人にも声をかけ講師になった人もいますが、彼らに申し訳ない。私が辞めれば済む話でもなく、業界全体の労働条件を改善してほしい」(Aさん)

 湘南ゼミナールは「湘南ゼミナール」「森塾」「スタディ・ナビ」などの名称で神奈川、東京、埼玉、千葉で約200教室を運営している。団体交渉の申し入れには応じており、今後、話し合いが行われる予定だ。

 昨年8月1日、ブラックバイトで困っている学生を支援する労組として「ブラックバイトユニオン」が発足して以来、相談は1年で732件に達した。そのうち約3割の284件が学習塾業界で働く学生からだったという。ユニオンのスタッフらもこの学習塾業界の実態は想定外だったようで、今年6月4日に個別指導塾ユニオンの相談窓口をあらたに開設したという。


●労基署が是正勧告

 個別指導塾ユニオンは今年6月上旬、個別指導塾最大手「明光義塾」を展開する明光ネットワークジャパンと、茨城県を中心にそのフランチャイズ教室を展開するワールドオーエーに団体交渉を申し入れた。10年9月からワールドオーエーと契約してアルバイト講師を始めた大学院生のBさんは、1コマ数十分の授業に対して賃金を支払う「コマ給」という仕組みに疑問を抱き、同ユニオンに相談した。

 Bさんの賃金は1コマ90分1600円だが、授業開始20分前に教室に入ることが義務付けられており、その分の特別手当として、250円が支払われていた。しかし、学生によっては特別手当が200円だった人もいて、この特別手当を賃金だとすれば時給換算での600円は最低賃金を大幅に下回ることになる。つまり、この特別手当の位置づけが不明朗だったのである。

 さらに、22時以降に働いたことがあるにもかかわらず、深夜割り増しが支払われなかったという。BさんもAさんと同じように、書面での労働条件が交付されていなかった。同ユニオンによれば、6月と7月に計2回、団体交渉を行ったが、2社ともBさんや全講師に対する違法行為を認めていなかったという。

 Bさんは働き始めて1カ月経った頃、塾の責任者に賃金制度の不明朗さを指摘して、バイトを辞める旨伝えたという。責任者は「どうして講師をやるの」と質問してきた。Bさんは「子どもに教えるのは好きだし、勉強にも自信がある」と答えたところ、「だったら、お金は関係ないでしょ」と半ば逆ギレ気味で言われたという。Bさんはその剣幕に押されて「じゃあ続けます」と言ってしまった。塾業界はバイト学生の高いモチベーションとプライドにつけ込んで不明朗な労働条件を押し付けているのである。

 土浦労働基準監督署は8月7日付けで2社に対し、次の点が労働基準法に違反しているとして是正勧告を行った。

(1)所定の労働時間を超える労働の有無など、労働条件が明示されていない
(2)6時間を超える労働に対して、45分の休憩が与えられていない
(3)22時以降働いたにもかかわらず、深夜割増の賃金を支払っていない

 ちなみに労基署はコマ給そのものについては判断しなかったというが、同ユニオン事務局長の坂倉昇平氏は「コマ給という制度こそが元凶」と強調する。同ユニオンは8月27日にも2社と団体交渉を行い、坂倉氏はツイッターで次のように報告している。

「運営会社1社が労基署の是正勧告を受けたにもかかわらず、特に反省した様子は見られませんでした。労基署の指導だけでは、ブラックバイトは変えられない。明光義塾の改善に立ち上がる講師アルバイトが、1人でも多く必要です」


コストパフォーマンスのいい中高一貫校

2015.6.2

 

 

 中学入試の志望校を考えるひとつのヒントになるのが「コストパフォーマンスのいい中高一貫校」。本誌は今春の大学合格実績と、6年前の中学入試時の偏差値を調査。そこで目立った2校を紹介しよう。

 東大の現役合格者数10人。断トツなのが開智(埼玉)だ。中高一貫校になったのは1997年、今春の卒業生が13期生という比較的新しい学校。1期生から毎年東大合格者を出し続け、2011年の実績は14人。その後は毎年10人前後が合格している。

「東大理系数学、早慶文系英語など志望大学の科目別の特別講座や夏期講習、2次・私大直前講習などを行い、大学入試に向けた対策をしっかりと行っています」と、中沢千洋教頭が特色を語る。

 今春、塾に通わずに東大の文IIに現役合格した高山広太郎さんは、東大向けの講座、講習は全部受講した。

「東大入試ではどの教科も記述力が結果を大きく左右します。特別講座では記述問題を添削してもらえるので、自分ではなかなか気づけない弱点が浮き彫りになりました」

 同校は、先端と一貫の二つのクラスで生徒を募集している。高2で医系コースが加わり、高3からは最難関国立、国公立・私立、医系の3コースに分かれる。

「毎年、入学時には一貫クラスだった生徒が東大に合格しています」(中沢教頭)と授業の進め方に自信を持っている。

 文部科学省が推進する「アクティブ・ラーニング」も創立した18年前から先取りし、フィールドワークにも積極的に取り組んでいる。仮説を立て、調査・検証・考察を行って発表することは、自主的に勉強することにつながるだけではなく、大学生、社会人になったときにも役に立つ。

 高1の時に、東京湾のゴミの島を緑の島にするプロジェクトをテーマに選び、東京都庁で取材した高山さん。

「現在、東大で初年次ゼミナールを受講していますが、開智で体験した個人探究とほとんど変わりません。『こんなに役に立つんだ』とビックリしています」

 09年の偏差値が45以下なのに、国公立大の現役合格率が15%を超え、東大現役合格者がいるのが青稜(東京)だ。

「先取り学習はほとんどやりません。教科書を丁寧に学ぶ授業や確認テスト、補習などで基礎学力を身につけさせます」(生徒募集対策部長の伊東充教諭)

 女子校から共学になった95年以降少しずつ偏差値が上がり、08年からはほぼ毎年、東大合格者が出るようになったという。

 今春、東大理Iに現役合格した青野快さんの中学入試時の偏差値は50前後。6年間を振り返り、こう話す。

「学校の授業は基礎を固めるのに役に立ち、センター試験対策になりました。東大対策としては、英作文や過去問の添削が充実していました」

 同校では定期試験前の月曜を「質問の日」にし、全教員が待機。質問が苦手な生徒の背中を押す工夫もしている。

※週刊朝日  2015年6月5日号より抜粋

 

東大合格者速報!中高一貫校が強い理由

※東洋経済 2015.3.12


15年高校別ランキングと「いい学校」の条件


今年も東大合格者(前期分)が発表された。週刊誌各誌はこぞって「高校別」の合格者ランキング企画を組む。このときが1年でいちばん売れるのだそうだ。いかにも学歴好きな国民性にも思えるが、これは日本だけの傾向ではない。イギリスでも、オックスフォードやケンブリッジにどこの高校から何人が入学したという話題が、タブロイド紙の鉄板企画である。

3月12日発売の『サンデー毎日』2015年3月22日号(毎日新聞社)によれば、東大合格者をたくさん出した高校トップ5の顔ぶれはおなじみの面々だ。

 

 

 

トップ10までを見ても、圧倒的に中高一貫校が多い。これに対して、「中高一貫校は中学のうちから高校の内容までを先取り教育できるから有利なのは当然であり、フェアではない」という批判がときどきある。

しかし、この批判は的を射てはいない。


中高一貫校の利点は先取り教育ではない


中高一貫校では、高校受験がない分、中学生のうちは、目先の1点、2点にとらわれるような勉強をしなくていい。理科では実験に時間をかけ、社会ではフィールドワークやディスカッション、レポート作成に時間をかけられる。数学で、ひとつの証明問題にじっくり取り組むこともできる。点数を取るための英語ではなく、使える英語を身につけるための反復練習をする時間的余裕もある。「真のゆとり教育」が実践されているのだ。


「真のゆとり教育」によって身につく骨太な学力の土台があるから、高校の最後で、大学入試のための勉強を始めたときに、高い学力を積み上げやすい。中高一貫校では、単純に「先取り教育」をしているわけではない。受験に特化したスキルを与えているのではない。むしろ「名門校」と呼ばれるような学校ほど、教養主義を貫く学校が多い。

ちなみに広辞苑によれば、「教養」とは、「単なる学殖・多識とは異なり、一定の文化理想を体得し、それによって個人が身につけた創造的な理解力や知識」のことである。


たとえば、灘(兵庫県)。私立中高一貫校としては珍しく週5日制で授業時間数が少ない。その代わり土曜日には「土曜講座」が開催される。そこではたとえば、「ギリシャの三題作図不可能問題」といわれる数学の問題について、折り紙を使って解くというようなアカデミックな講座が実施される。

麻布(東京都)も同様に、土曜日に「教養総合」を開催する。そこではたとえば、「うさぎ追いし、かの山……」で始まり日本の原風景を表現する唱歌「ふるさと」の4番を作詞する。「現在の日本の原風景とは何か?」という問いである。高層ビルの夜景について、「その中には過労死寸前にまで働いている人たちがいることを考えれば、美しくは見えない」などと、辛辣なメッセージを含む歌詞が登場したりもする。

女子学院(東京都)では「聖書」の時間に、キリスト教の歴史のみならず、世界中の宗教や哲学・思想の変遷についても学ぶ。昨今の世界情勢についても、もちろん触れる。まさにユニバーサルな教養を身につけられる。その知識を礎に、2泊3日の討論合宿を開いたりもする。

「本物に触れる教育」を旨とする武蔵(東京都)では、たとえば地学の時間、鉱石のサンプル作成に膨大な時間をかける。既製品を買ってしまう代わりに、半年以上、ひたすら鉱石を研磨剤で磨き、顕微鏡で見るためのプレパラートを自作するのだ。そのプロセスの中で、一生忘れない、科学者的な感覚を身につける。


「スキル」より「教養」を身につける教育が重要


「即戦力」を重視しすぎた教育は危険な面もある(写真:KAORU / Imasia)


最近、政府の教育再生実行会議は、アカデミックな教育課程に偏りがちな大学を変革し、産業界が求める「即戦力」となる人材を育てることを首相に提言した。「教養などいらない」と言っているわけではなかろうが、舵取りを誤れば危険だ。

 
 

大学生が職業に直結するスキルを身につければ、企業にとってはたしかに「即戦力」になる。しかしスキルはすぐに陳腐化する。だから社会人になっても「学び直し」ができる制度も整備するという。新しいスキルを随時学ぶことができるようにするのだ。

一見すばらしいが、まるでスマホのアプリを更新する仕組みのようにも見える。不具合が目立ってきたら更新する。いつまでもそうやって、「与えられる」スキルによって生きていくしかない。受動的である。更新サービスが打ち切られたら、おしまいだ。


「人材育成」と「教育」は似て非なるもの


学校での「即戦力」育成は、日本の産業界の積年の望みだ。特に経済が急成長した時期には必ずといっていいほど「実業学校」というような構想が登場している。しかし長続きはしない。結局、世の中のニーズがないのである。


今すぐに必要とされるスキルを与えることに主眼を置いた「人材育成機関」が登場することに反対なのではない。むしろ多様な学びの場のひとつとしては歓迎したい。そういう学びの場が増えることで、結果的に大学が減るのであれば、それは仕方がない。

しかし教養を受け継ぐ場として進化してきた大学を、意図的に「人材育成機関」に置き換えてしまったら、社会的損失は計り知れない。あとから元に戻そうとしても取り返しはつかない。学校はコンピュータやロボットのようなものではなく、生き物であるからだ。一度切り倒してしまった大木を蘇生できないのと同じだ。

「人材育成」は目的ありき。「教育」は子どもありき。2つは似て非なるもの。それらを峻別せずに進められる議論は危険である。


※2015.2.3

  

偏差値40から東大合格 増える“お得な学校”


親からしてみれば、できるだけ偏差値の高い学校に入れたい中学受験。だが、中学受験時の偏差値は低くても、6年間で子どもの学力を伸ばし、難関大学に合格させている「お得な中高一貫校」もある。

『中学受験 入りやすくてお得な学校』などの著書がある森上教育研究所の森上展安代表は「お得な学校」の共通点をこう話す。

「入りやすくて、子どもの学力を伸ばしてくれる学校の多くが200人以内の小規模校です。生徒全員に目が行き届きやすく、それぞれの生徒に応じたきめ細かな指導ができます。生徒数に関係なく共通しているのは、中学段階で学習習慣と基礎学力を徹底的に身につけさせるということです」

 中学受験情報誌「進学レーダー」の井上修編集長は、「行事や部活が盛ん」というキーワードを挙げる。

「行事や部活を経験しながら、人間として成長していきます。行事が盛んな学校は子どもたちの幸せを願い、大事にしています。よく『面倒見のいい学校』という言葉が使われますが、何から何まで面倒を見ていると子どもの自主性が育ちません。本当の意味の『面倒見のいい学校』は、生徒が自立するためのサポートをしてくれる学校です」

 井上編集長は近年の傾向についてはこう語る。

「以前は、先取り学習をPRする学校が多かったが、最近は進度にこだわらず、生徒の苦手な分野に時間をかける学校が増えました」

 これらの傾向があてはまるのが、足立学園(東京)だ。2008年の偏差値は39だが、昨春、2人が東大に現役合格。そのうちの一人、東大文科二類1年の高野瑠人(たかのりゅうと)さんは、こう振り返る。

「中学受験時の偏差値は40弱。特別奨学生入試は不合格で、一般入試の2科目試験で入学しました。公立中の1.5倍の時間という授業を真剣に聴いて、わからないときは質問に行きました。担任の先生の授業はわかりやすくて英語が好きになり、高1のときに英検2級に合格しました。数学は中2までは追試が多かったけれど、じわじわと力がついて、中3では成績が上位になりました」

 高野さんの元担任で学習指導係の寺川信教諭はこう話す。


「中学入学の時点では、勉強が好きではない生徒が多いため、全教員が丁寧に教えます。高野君のように真面目に授業を受け、難関大学を目指せる力がついた生徒には、それ相応の勉強法のアドバイスもしています」

 寺川教諭が高2の夏期講習で担当した「難関国立長文」では、まず東大の問題を見せたという。

「一歩ずつゴールを目指すというやり方ではなかなかゴールが見えず、やる気が出ない。だから、パラシュート方式でまずゴールを先に見せて、そこに到達するためのプロセスを各自が考えるよう、指導しました」

 高野さんが東大を目指したのは高2の夏から。それまでは学校に提出する計画表に目標と勉強時間を記録するだけだったが、東大の入試日から逆算し、合格するにはどうしたらいいかを考え、「この時期にはこれをやる」という計画を立てて実行した。

 寺内幹雄校長は、担任と生徒の距離感が大切と話す。

「生徒の個性を認め、押し付けでも放任でもない、バランスのとれた指導をしています。できるまで教え、『やればできる』という成功体験を積ませることによって、生徒は自信を持ちます。学力だけでなく、体力、豊かな感性、社会性、協調性を身につけられるよう、行事が多いし、学校周辺の清掃ボランティアにも取り組んでいます」

※神戸新聞NEXT 2015.1.30

 

 

受験生激励大声やめて! 入試会場で塾関係者ら過熱


私立中学などの入学試験で、塾関係者による「応援団」や「決起集会」への対応に学校側が頭を悩ませている。今月、兵庫県内各地で行われた入試でも、のぼりや鉢巻き姿で大声を上げ気合を入れる光景が見られた。ほかの受験生や保護者から「萎縮する」との苦情が上がっており、学校側が自粛を呼び掛ける動きも出ている。(小尾絵生)


 昨年、志願者が過去最多だった灘中学校(神戸市東灘区)は、今回初めて進学塾に「入学試験当日に関するお願い」と題した文書を配布。当日の来校を受験生と保護者、塾関係者に限定するよう依頼した。

 昨年までは、小学5年の塾生や灘中に通うOBが下見や応援に大挙して来校。待機所の体育館近くを通る市道にも人があふれ、交通の妨げになるほどの混雑ぶりだったという。

 応援団と受験生との見分けがつかず、入試の進行に支障を及ぼす恐れもあったといい、対策を求める声が上がっていた。同校の大森秀治教頭は「文書の効果は抜群。今年は塾の協力のおかげで状況が改善した」と話す。

 神戸大付属中等教育学校(同)は今回、中高一貫体制となって初めての本格的な入試だった。正門周辺は受験生を運ぶバスが頻繁に出入りするため、人がたまるのは危険と判断し、塾関係者にも待機場所として体育館を開放した。

 ただし、ほかの受験生が萎縮する事態を避けるため、塾に対し、集団で声を上げての決起集会▽旗やのぼりの使用▽ベンチコートの着用-などをやめるよう、事前に文書で呼び掛けた。

 しかし当日、集会をして大声を上げた塾があり、抗議したという。同校の安岡久志副校長は「今後も繰り返されるようであれば、対応を検討せざるを得ない」と話す。

 進学塾の日能研関西本部(神戸市)の森永直樹・進学情報室長は「昔はもっと派手に応援していた時代もあった。今は学校の意向に沿うのが原則。受験生の緊張をほぐして気持ちよく入試に臨んでもらうのが大切」と話している。


※日刊SPA  2015.1.22


「留学経験者はポンコツばかり」グローバル人材採用担当の嘆き


現在、国際舞台で活躍できるグローバル人材が求め続けられている。しかし、新卒一括採用が根付いている日本では、留学により就職機会を損失することが懸念されている。そのため、他のアジア諸国と比べて、海外留学者数は2013年より減少傾向にあるという。

 こうした中、政府では“日本再興戦略-JAPAN is Back-”内で2020年までに日本人留学生を6万人(2010年)から12万人へ倍増させるという目標値を掲げた。だが、果たして海外で勉強しただけでグローバル人材と安易に言えるのだろうか?

「私の職場は海外からの問い合わせが多いので、英語は不可欠な要素です。語学能力を活かせる場として、入社を希望してくる留学経験者がとても多い。ですが、語学能力以前の問題を持つ“自称グローバル人材”がほとんど。ま、ポンコツばかりですね」

 そう語るのは、某旅行代理店でグローバル人材の採用を担当するIさん(41歳・男性)。“自称グローバル人材”たちの語学能力以前の問題とは何か、話を聞いてみた。

●プライドの高さだけはメジャーリーガーなみ

 Iさんの会社では、面接後にその場で合否通知をする。「不採用通知」を言い渡された“自称グローバル人材”たちは同じような捨て台詞を吐くのだと言う。

「一番多いのは『あなたの企業は本当に見る目が無い』、その次は『日本企業はどこも一緒だ』って言うんですけどね。社会人経験が無くて、男性は肩より長いロン毛、女性は面接なのに合コン用みたいなド派手メイクじゃ、どこの国でも雇いませんよ」

 “T(time)・P(Place)・O(Occasion)”という和製英語は“自称グローバル人材”には通じないのかもしれない。

●TOEIC高得点者の呆れたビジネス会話

 どんな企業も英語力の指標とするTOEICのスコア。「実はこのスコアは何回でも挑戦できるテストのため、全く参考になりません」とIさんは語る。

「今の20代の人たちはテスト対策してますからね、先日もスコア800以上の人を採用したら、外国人のお客の会話する際に『fuck’in~』 とか表現を多用するんです。なので、すぐ解雇に。これって日本で言ったら『超~』みたいな表現、お客相手に使いませんよね……。」

 日常会話とビジネス会話は英語でも全く違う。このタイプの“自称グローバル人材”は日本語もおろそかだとか……。ここまでくると語学力の問題では無くて“育ち”の問題かも。

●魔の“ハロウィン時期”

 年々、日本でも注目され始め、賑わいを見せるハロウィン。去年も渋谷や六本木では仮装した人たちが大勢いて、驚かれた人も多いのでは?しかし、Iさんの会社では驚愕の実態が……。

「最近ではハロウィンを日本で過ごしたい外国人のお客がいるのですが、10月31日に有休をとる人が多い、そして11月1日は急病で休む(二日酔いなのはバレバレ……)。もっと酷い例だと、二週間前から仮装している痛い人も。一昨年よりも去年の方がグレードアップされてましたね。来年はどうなるものか、正直不安です」

 本来、ハロウィンとは秋の収穫を祝い悪霊を追い出すための行事。去年の渋谷では機動隊が出動する事件にまで発展した。その背景にはお祭り好きの日本人という点もあるが、“自称グローバル人材”たちと一緒に間違った“文化輸入”をしてしまったのでは……。

「海外で勉強したからと言って“グローバル人材”が育つ訳ではありません」とIさんは断言する。

「僕は20代前半までバックパッカーでした。が、どの国に行っても、日本人は日本人同士で固まるんです。そして、たった一週間先にその国にいただけで、先輩面するんですよ。留学先の米国も一緒でしたけどね。おかげで外国人たちから同じ日本人と思われるのが嫌でしたね」

 海外では日本人同士で傷の舐め合い、国内では語学を活かして“ドヤ顔”。こんな厚顔無恥な“自称グローバル人材”が日本を席巻する日も近いのかも知れない。 



※J-CASTニュース  2015.1.16 

 

受験なしの有名一貫校卒業者「使い物にならない」 マツコ発言に「これは本当」「8割はダメ」同意する声多いが...

 

 

「小学校、中学校と上がってきていい大学出たやつらは使い物にならない、ほんとに」

マツコ・デラックスさん(42)が出演番組で言い放った、一貫校の内部進学で大学を卒業した人への辛口評価が話題を集めている。「これは本当だよな」と同意する人が多いようだ。

 

 

「受験を乗り越えた人はしっかりしてる」

 

マツコさんは2015年1月14日放送の「マツコ&有吉の怒り新党」(テレビ朝日系)で、有吉弘行さん(40)と過保護すぎる子育てについてトークを展開。その中で有吉さんがエスカレーター式の一貫校に子どもを入学させる親に対して、「『はい、私の役目終わり!』みたいな顔してない?」と腹立たしげに語った。

するとマツコさんは「これだけは親御さんたちに言っておく」と断り、

 

「小学校、中学校と上がってきていい大学出たやつらは使い物にならない、ほんとに」

と怒りをぶちまけた。

番組では大学名を挙げていないが、例えば関東なら早稲田や慶応、青山学院、関西なら同志社や関西学院などが、幼稚園や小中学校からのエスカレーター式の内部進学がある有名私立校だ。

 

「ごく一部に天才はいるけど、大体のやつは社会に出ると、要領が分かっていないのか闘争心がないのか分からないけど...」として、「野っ原を駆け回って、高校の時に頑張っていい大学入りました、みたいなやつが仕事していて頑張ってるなって思う」と語った。

マツコさん自身は千葉県の公立高校から美容専門学校を卒業している。「使い物にならない」の具体的なエピソードは話していないが、有吉さんが「確かに」と同意していることから、芸能界に関した話なのかもしれない。

しかし、視聴者にも共感を得られたようで「試練を経験したその経験値はでかいんだよね」「大学受験を乗り越えた人はしっかりしてる」という声が多い。ネットでは「これは本当だよな。経験上、一貫校の奴等の8割は使えない」「昔の職場にいたけど世間知らずで困った」と同調する意見が目立つ。

 

 

採用現場でも内部進学者へは評価厳しい

 

実際に内部進学した人が「使い物にならない」かどうかを判断することは難しいが、企業の採用に携わる人からの評価は厳しいようだ。

人材コンサルティングのヒューマントップ菅原秀樹社長は11年12月当時、J-CASTニュースの取材に、内部進学や推薦・AO入学の学生には厳しい目が向けられていると語っている。その理由は「厳しい競争を経験しておらず、勉強していないとみられているからです。例えば、慶応幼稚舎からのストレートよりも、地方の名門高校出身者の方が出世すると考えていますよ。幼稚舎なら、入学するときに親の年収とかで決まるとみられていますからね」としている。

また、日本経済新聞(12年12月12日、電子版)の記事では、ある食品メーカーから就活生を紹介する企業の担当者に「付属校上がりは絶対にダメ」と注文があったという証言が紹介されている。学生にとっては人生最大の関門となる大学受験は学力、精神力を鍛えるチャンスで、この経験がないと人材の差につながる、というのが理由だという。


※ヤフーニュース 2015.1.13  


子供に向精神薬処方増…注意欠如などで2・5倍


 子どもへの向精神薬の処方件数が増加し、13歳~18歳では、2002年~04年と08年~10年との比較で、注意欠如・多動症に使うADHD治療薬が2・49倍、統合失調症などに使う抗精神病薬が1・43倍になったことが、医療経済研究機構(東京)と国立精神・神経医療研究センター(同)などによる初の全国調査で分かった。

 調査は、02年から10年の間に、外来診療を受けた18歳以下の患者の診療報酬と調剤報酬の明細書約23万件を分析した。1000人あたりの向精神薬の処方件数などを算出し、統計解析で年齢層ごとの処方件数の年次推移などを比較した。

 02年~04年と08年~10年の処方件数を比べると、13歳~18歳ではADHD治療薬と抗精神病薬の増加に加え、抗うつ薬の処方も1・31倍となっていた。6歳~12歳でも、ADHD治療薬が1・84倍、抗精神病薬が1・58倍と増えていた。


※2014.4.3


東大に行くなら「公立中高一貫校」? その実力とは


安い学費で高い質の授業を受けられることで人気の「公立中高一貫校」。今年注目されたのが県立千葉高校の動向だ。 

 千葉県庁から徒歩10分。住宅街の中の緩やかに続く坂を上った高台に、県立千葉高校はある。

 1878(明治11)年の創立以来、県内トップレベルの公立進学校として君臨し、20年前の1994年の東大合格者は57人(大学通信調べ)。その後は減少が続き、2002年には私立の新興校、渋谷教育学園幕張高校に県内トップの座を譲ったものの、現在もほぼ毎年20人を超す合格者を出し続ける名門校だ。

 その敷地内に「県立千葉中学校」が開校したのは08年。同じ校門をくぐり、高校校舎を通り抜けたテニスコートの上に2階建ての中学校校舎が建った。

 少し説明しよう。公立中高一貫校は99年施行の改正学校教育法でその設置が認められた。以降、全国で広がり、13年5月1日現在、184校を数える。

 公立中高一貫校には3種類ある。

(1)中学と高校を一つの学校にする「中等教育学校」。高校での募集はなく、6年間全員が共通のカリキュラムで学ぶ。

(2)同じ設置者の中高を接続する「併設型」。中学からは受験なしで高校に進学できる一方、高校での募集もある。

(3)市町村立中学と都道府県立高校など設置者の違う両者をつなげ、高校入学時には学力検査以外でも進学可能な「連携型」。

 県立千葉は(2)の「併設型」にあてはまる。高校入学時に240人の募集枠があるものの、内部進学者は高校受験がなく、じっくり学べる上、学費を安く抑えられるとあって人気を呼び、初年度の競争率は27.06倍に達した。定員80人(男女各40人)に実に2165人もの児童が出願したのだ。

 あれから6年。厳しい競争を勝ち抜いた“精鋭”である1期生が今年初めて大学受験に臨んだ。果たして、その結果は――。

 東大は前年より4人少ない21人(うち現役10人)。現役10人中、1期生は3人にとどまった。京大は前年比7人増の12人(同4人)とはいえ、1期生は1人だけだ。

 確かに県立千葉は、全国の公立中高一貫校のなかでの東大・京大合格者数はトップレベルといえる。ただ、30倍近い競争率を勝ち抜いた1期生への期待値は相当高く、残念がる関係者も多い。

 そんな周囲の落胆を、高岡正幸校長は全く意に介していない様子で豪快に笑い飛ばす。

「うちの生徒はもっと厳しく指導し、東大へ進むよう誘導していれば40人は入ったはずです。でも、そんな教育をしていないだけ。本当に学びたいことを応援している」

 例えば、1期生のある女子生徒は、「将来、建築家になる」という明確な夢を持っていた。東大に入学すれば2年の夏学期までの成績をもとに3年からの進路を決める「進振り」で、別の道に進まざるを得ない可能性が出る。このため「入学直後から、たっぷり時間をかけて学べる」との理由で神戸大を受験、合格した。

 確かに、東大の合格者数だけに着目すると減ってはいるが、旧帝大や国立大の医学部などと合算すれば例年より15人ほど多い合格者が輩出している。

「高校出身の教員たちの下で、深くじっくり学んだ内部進学生と、厳しい高校受験を経験した生徒たちが、互いに刺激し合い、学校としての“地力”は増しています」(高岡校長)

※2014.3.28


東大合格率が高い高校の共通点とは

 

各大学の合格発表が行われるこの時期。東大への合格者数も気になるけれど、現役合格率(現役合格者数÷卒業生数)はもっと気になる。なぜなら、それは「入学すれば最短で東大生になれる可能性が高まる」と思えるから。現役合格率の高さを誇る高校の話を聞くと、公立・私立を問わず“ある共通点”が浮かび上がってきた。

 現役率の上位は、筑波大附駒場(48.8%)、灘(33.2%)など、国立・私立の中高一貫校が占める。近年は東大進学の話題で、日比谷(東京)、水戸第一(茨城)、岡崎(愛知)など公立校の健闘が伝えられることが多いが、現役率ではトップ10に遠く届かない。

「一貫校は高校入試がない分、前倒ししながら高校2年生までに基本を徹底的に教え込むことができる。そして3年生では、志望校に応じた勉強ができる。その強みをいかんなく発揮している結果です」

 そう話すのは、『中学受験入りやすくてお得な学校』(ダイヤモンド社)などの著書がある森上教育研究所の森上展安代表。

「大学進学に効率性を求めるなら、選ぶべきはやはり私立中高一貫校でしょう」

 森上代表は続けて、

「1学年の生徒数が少ないことも現役率に大きく影響します」

 確かに合格者数でダントツ首位に君臨する開成の現役率は24.6%。卒業生数は筑波大附駒場の倍以上だ。

「東大を目指そうという子どもたちは、幼いころから優秀で、ちやほやされて育っている場合が多い。教師が生徒の名前と顔を覚えられるのは160人が限度と言われています。目が行き届く規模は、彼らの自己肯定感を上手に育み、学力を伸ばすことに役立っている」(森上代表)

※2013.8


6年間で偏差値急上昇 「お得」な中高一貫校はここ


難関大学への進学実績から、中高一貫校の人気が高い。そこで本誌では、中学受験時の偏差値がそう高くないにもかかわらず進学実績がある、いわば“お得”な中高一貫校を調査した。

 入学時の学力を6年間で伸ばしてくれて、国公立大の現役合格率が高い学校は、2007年と14年の偏差値を比べると、上昇しているケースが多い。そんななか、まだ比較的入りやすくて狙い目なのが、淑徳(東京)だ。07年には国公立大学の合格者が6人だったが、今春は46人(うち現役は40人)。国公立大、早慶上理、MARCH、医歯薬医療系の合格者も138人から353人と大幅に増えた。1892(明治25)年に女子校として開校したが、1991年に共学化してから東大合格者も出るようになり、進学実績が年々伸びている。湊広賢(ひろたか)統括教頭はこう説明する。

「共学前は付属の淑徳短大に進学する女子が多かったが、男子が入学してから男女ともに国立大や有名私大を目指すようになりました。このため、05年に中学、高校ともに、従来の特進コースをハイレベルにした『スーパー特進コース』を設置。3期生から東大の合格者を出しました」

 同コースに入学金や授業料などが免除となる特待制度を設け、優秀な生徒を集める一方で、教師の指導力の向上にも取り組んだ。

「スーパー特進を設置してから、高校教師を対象とした予備校の『教育セミナー』への参加を奨励しています。春期、夏期、冬期に行われる駿台、河合塾、代ゼミなどのセミナーの受講料は全額学校負担。5~6講座受講する教師もいます。熱意がある教師を採用し、若い場合には同じ教科のベテラン教師がペアを組み、指導します」(湊教頭)

 ほかにも、生徒への授業アンケートや公開授業での保護者アンケートも実施し、結果を教師に伝えている。また、生徒の学力を伸ばすために中学で行っているのが、火曜と木曜の放課後学習だ。

「基本は自習で、学習習慣と解き方を身につけさせることが目的です。教員に質問できるし、ゼミや講習もあるため、中学時に塾に通う生徒はクラスに数人です。英語に力を入れていて、授業は全コース週に8時間。英検は中3までに準2級をとるよう指導しています。高校ではクラス全員が1年間留学する、日本初の留学コースもあります」(同)

 12年には、ひとクラスが20人ほどの「スーパー特進東大選抜コース」を設置。学力だけではなく、豊かな心を持つリーダーの育成を目指す。全員が特待生となるこのコースは比較的偏差値が高いが、入試の得点によっては、入学金、授業料、施設費が無料になるため、費用面でもお得だ。


※2013.8


チャイムがない! 急成長とげる中高一貫校


中高一貫校の人気が高い。主な理由は国公立大や医学部など、難関大学への進学率の高さだ。そんな中高一貫校の中から、今、急成長を遂げている学校に注目した。

 偏差値51以上の「関東上位校」からみてみると、まず挙げたいのは、渋谷教育学園幕張(千葉)だ。2007年偏差値は63で、男子御三家の武蔵(東京)や女子御三家の雙葉(東京)と並ぶが、東大の現役合格者数は41人と群を抜く。「難関大+医学部現役合格率」も27.1%と高い。1983年創設で、まだ新しいが、東大合格者数では県立千葉を02年に抜き、05年以来、千葉トップの座を譲っていない。13年度は、過去最多の東大合格者数61人を記録した(浪人含む)。急成長の中高一貫校だ。田村哲夫校長は、好調の要因をこう語る。

「30年前、新しい学校をつくる際に教育目標を立てました。『自調自考』『高い倫理観』『国際人であれ』の三つです。その教育目標を掲げ、地道に活動してきたことが花開いたのではないでしょうか」

 教育目標の一つ、自分で調べて自分で考えるという「自調自考」は、同校の柱だ。それを象徴するのが開校以来、「チャイムがない」ということ。生徒自ら考えて行動すればいい、チャイムで縛ることはないとの方針からだ。

「自調自考論文」を書くのも独特の行事だ。高1で自分でテーマを決め、取材・調査を重ね、高2の夏休みで論文を完成させる。テーマは自由で、英語で書いてもいいし、詞や曲などの創作活動も可だ。その後、教員たちで優秀な論文を選び、文集にまとめる。

 同校では生徒の自由に任せ、自主性を尊重するが、それに必要な条件が、二つ目の教育目標「高い倫理観」をもつことだという。

「自由や自主性は大事だが、それには、条件があります。嘘をつかない。騙(だま)さない。真面目に努力する。そういう考えをもった人は自由に行動していい。高い倫理観をもつことは非常に大事なことです」(田村校長)

 人として何が正しいのか、善なのかを判断する心の教育も同校では行っている。その一つが、校長講話だ。生徒の成長段階に合わせ、学年ごとに「自我の目覚め」(中2)、「自由とは」(高2)といったテーマがあり、それに沿って校長が話す。学期ごとに2回、6年間で約40時間。この講話を通し、最も多感な時期といえる6年間で生徒はものすごく変わるという。

※2012.10.24


塾いらずで“お得な”中高一貫校とは


消費増税などで負担が増え、家庭では節約が必要な場面が増えるが、一方で削るのが難しいのが教育費。そこで、森上教育研究所・森上展安代表に「塾いらずで家計にやさしい中高一貫校の選び方」を聞いた。

*  *  *
 東京なら桜修館や白鷗、両国、小石川などの公立中高一貫校から国立大学、というのが費用的には理想ですが、倍率も非常に高い。では、中学受験時に高い学力がなくても、できるだけお金をかけず有名大学に進学する方法を、首都圏で考えてみましょう。

 一つは志望校の偏差値を5ポイントほど下げて特別奨学生制度などを利用する方法です。足立学園、佼成学園、郁文館、かえつ有明、駒込などは午後受験を利用して併願が可能。ほかにも近年多くの私立中学で、このような制度で学費や入学金を免除している。特別にサポートされ、期待されて伸びる子は多いのです。

 入学時にずば抜けてはいない学力でも、6年後に高く伸ばしてくれる学校はお得な学校です。大学合格実績や、卒業時の偏差値と中学入試の偏差値を比較・分析した弊社の12年のデータを見ると、偏差値が55以上の私立中学で学力の伸びが高かった学校は世田谷学園、高輪、攻玉社。東大や京大といった難関国立大学に合格している。早慶上智が目標であれば、暁星国際や開智、桐蔭学園、国学院大久我山、頌栄女子学院など。

 比較的、短期間の受験準備で入学でき、入学後も個別指導があり、塾や予備校に行かなくてもすむ。そんな学校なら私立中高一貫校を選んでも教育費をやりくりできるのでは。

 東大だけを目標に莫大なお金を使う道が最良とは限らない。多様な人材が求められる社会です。奨学金の制度がより充実している海外の大学も視野に入れて、学校を選んでみてください。


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