「男子御三家」麻布の自由過ぎる校風 茶髪もスカートも、相撲取りも気にせず!?

 

「男子御三家」と呼ばれる名門私立校、麻布中学・高校(東京・港)。戦後の学制改革以降、東京大学の合格者ベスト10から一度も外れたことがない唯一の進学校であり、政界や経済界、学界から文学・芸能界まであらゆる分野に多様な人材を輩出している。麻布の人材育成の強さの秘密を探るため、東京・元麻布の麻布中高を訪ねた。

 

 

■自由の麻布は学園紛争から生まれた

 4月5日、東京・六本木に近い閑静な住宅街にある麻布。校内に入ると、10人ぐらいのラフな格好の私服姿の生徒たちがスマートフォンをいじりながら、歩いていた。うち1人の頭髪は「茶パツ」、青く髪を染めた生徒もいる。春休み期間中だが、彼らは本当に麻布生なのだろうか、平秀明校長に問うと、「ああ、うちは自由ですから」と言ってニヤッと笑った。全国有数の名門進学校、麻布とはどんな学校なのだろうか。
 「1970年前後の学園紛争から麻布の現代史が始まったのです」。麻布の平校長はこう語る。「創立以来、自由闊達(かったつ)・自主自立を校風としていますが、それまでの麻布は制服着用や成績による序列化など、生徒管理の面ではそれなりに締める学校でもありました」。折からの大学紛争、各地で多発した高校紛争の流れのなかで、麻布でも管理からの自由や授業の改革を求めて生徒たちが立ち上がったという。
 なかには過激な行動に出る生徒もいたが、当時の教員は生徒の訴えを真摯に受け止めて、全校集会を4日連続で開き、論議をつくし、最終的に「意志の集約」という合意を形成することになったという。「麻布はそれ以来、校則がない学校になりました。私服通学も許され、クラブ活動なども生徒が自主的に運営するようになりました」

 

 

■卒業式にスカートの生徒も

 高校の卒業式では大半の生徒はスーツ姿で卒業証書を授与されるが、中には打ち込んだ運動部のユニフォーム姿で登壇したり、受け狙いで奇抜な格好をしたりする生徒もいる。今年は相撲取りの着ぐるみを着た生徒がいて大いに沸かせた。また、スカートをはいて女装した生徒も複数いたそうだ。自由闊達で個性重視の麻布らしい卒業式といえるが、「スカート姿の生徒はもしかしたらLGBT(性的少数者)をカミングアウトしていたのかもしれない。でも、みんな良い意味で個性の一つとして尊重している、それが麻布ですね」。英国紳士然とした平校長は冷静な口調でこう語る。
 麻布の「意志の集約」の冒頭には、「生徒の自主活動は基本的に自由である」とうたわれている。細かい校則はないけれど、この自由の精神がいわば憲法のような形で生徒・教員の意識を規定し、尊重されているのだという。服装や髪型など、外面的なものに多くの人の目は行きがちだが、麻布ではむしろ一人ひとりの内面の自由、精神の自由を大切にしているのだという。

 

 

■文化祭、2割は髪を染める

 麻布名物の文化祭では2割ほどの生徒が髪を染めるという。今年は5月2日から3日間開催される。毎年約2万人の来場者があるが、「見学に訪れた小学生は最初はこわがるが、派手な格好の生徒も意外とやさしく接して説明や案内などをしてくれるのでその落差に驚かされる」という。
 それにしても自由闊達な雰囲気の麻布。これほど多種多様な人材を輩出し続けた進学校も珍しい。橋本龍太郎、福田康夫の両元首相も卒業生である。だが、麻布生の特徴はこの文化祭にこそ垣間見ることができる。奇抜な格好をしていても、文化祭スタッフの生徒たちは委員長、会計局長、行事部門長、展示部門長、統制部門長などまるで国の組織のような役割を担っている。彼らは生徒による選挙によって選ばれ、文化祭の運営全般を任されている。

 

 

■生徒が学校行事のすべてを管理

 「実は麻布は、文化祭や運動会など学校行事は生徒がすべてを仕切っている。自治権が確立されています」と平校長は話す。意外なことに麻布には生徒会というものがなく、5つの自治機関が並列に存在し、生徒が運営・管理している。核となるのは予算委員会で、ほかに選挙管理委員会やサークル連合、文化祭実行委員会、運動会実行委員会があり、それぞれに代表者がいる。
 数百万円の予算で運営される文化祭だが、「不明金が出れば徹底的に調査したり、雨天等で飲食の売り上げが目標に達しなかった場合は、予算委員会と話し合い、赤字を補てんしてもらうなどの判断もすべて生徒がやる。教師は報告は受けるが、特別なケース以外は介入しない」という。
 予算委員会は国会の予算委員会と同様、クラスの代表があらゆる事象を対象とした討議の場となる。麻布生は決して自由気ままにふるまっているのではなく、自治権を担うことで責任も負っている。文化祭など各イベントを成功に導くには、優れたチームを作り、綿密な計画を作成して実行する必要がある。結果的にリーダーシップを身につけていく。

 

「男子御三家」麻布の自由過ぎる校風 茶髪もスカートも、相撲取りも気にせず!?

 

 

 

■要領よく勉強

 激しい学園紛争に揺れた麻布。その過程で生徒による自治権が確立し、後に予算委員会が誕生。強圧的で不正常な学校運営に対抗するため教職員も労働組合を組織したり、保護者・教員も学校の情報がきちんと伝わらなかった反省からPTAが組織された。だが、この闘争期間も麻布は東大合格者のベストテンから外れることはなかった。「闘争に明け暮れながらも、要領よく勉強もしていたんでしょうね」と平校長は笑う。
 学園紛争を経て自由と自治を獲得し、リーダーシップを磨く麻布生。多様なリーダーが次々輩出する環境が麻布にはあるわけだ。


 麻布高校の1学年の定員は300人。2017年の東大合格者数は78人で、前年比16人減であったが、全国ランキングでは第4位。半世紀以上にわたって学年定員の3割前後の合格者を維持してきた。自由な校風を守りながら、なぜこれほどの高い学力を身につけられるのか。その疑問に答えるために、平校長は麻布の校内を案内してくれた。
 麻布の主な出身者 麻布の出身者は政界や経済界・学界のみならず、文学界や芸能界など様々な世界で活躍しているのが特徴だ。橋本、福田の両首相経験者のほか、自民党元総裁の谷垣禎一氏など著名な政治家が多い。経済界では「財界の鞍馬天狗」と異名をとった日本興業銀行(現みずほ銀行)の中山素平元頭取をはじめ、ホンダ元社長の福井威夫氏や三菱商事会長の小林健氏、コマツ社長の大橋徹二氏など多士済々。三越伊勢丹ホールディングス社長だった大西洋氏も麻布出身だ。 文学界にも人材が多く、吉行淳之介や北杜夫、山口瞳など戦後活躍した有名作家のほか、「北の国から」の脚本家として知られる倉本聰氏もいる。ちなみに同氏は西武鉄道グループ総帥だった堤義明氏とは麻布時代の同級生だった。 芸能界にも人材を送り出している。もともと麻布の文化祭の前身は芸能祭と呼ばれた。1946年に後に俳優として活躍する小沢昭一やフランキー堺らが「世の中に娯楽がないので、日ごろ世話になっている先生たちに余興をやって楽しんでもらおう」と発案してスタートした。 最近活躍している有名人といえば、日本テレビ放送網の人気アナウンサーの桝太一氏がいる。平校長の教え子だが、「生物部出身のまじめな子で、東大に進学したが、まさかアナウンサーになるとは思わなかった」という。

 

 

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