中学入試の問題がおもしろすぎる! 大学入試改革の影響で「思考力」をはかる方向に

 

中学入試の問題がおもしろすぎる! 大学入試改革の影響で「思考力」をはかる方向に

2017年度 香里ヌヴェール学院中学校 B1日程入学試験 思考力(その1)

 

 

2月1日(水)より、東京都と神奈川県において、今年度の私立中学校の入試が解禁となる。各校毎年ユニークな問題が出されているが、そのねらいはどこにあるのか? 詳しいお話を、香里ヌヴェール学院(大阪府)の学院長で、『2020年からの教師問題』(ベスト新書)の著者・石川一郎先生に聞いた。

 

◆中学入試の問題はこんなにユニーク

 最近の中学入試の問題を解いたことはありますか? 小学生のお子さんがいるご家庭でないと、現在の中学受験というのはなかなか馴染みがないものかもしれません。実は中学入試で出される問題は今、大学入試改革を意識して年々その内容が変化しています。受験生の「思考力」をはかるための様々な工夫がなされており、大人が見てもとてもおもしろい問題が多いのです。
 では、一体どのような問題が出されているのか――まずは、私が学院長を務める大阪の香里ヌヴェール学院中学校で、今年1月に実際に出題した入試問題を参照したいと思います。

 例に挙げる「思考力」を問うテストは、受験生がいかに創造力豊かに思考できるかを見る目的で作られています。「『未来の自動販売機』から連想する言葉を、できるだけ多くふきだしの中に書きましょう」というお題ですが、どうでしょうか、創造力がかき立てられる問題ではないでしょうか。
 実のところ、この問題はただのウォーミングアップ。肝心の設問はこのあとに続きます。

 

中学入試の問題がおもしろすぎる! 大学入試改革の影響で「思考力」をはかる方向に

2017年度 香里ヌヴェール学院中学校 B1日程入学試験 思考力(その2)

 

 

◆思考の道筋を示すことが大事

 さて、設問は全部で四つ。いかに受験生の創造的思考力をはかろうとしているか、問いの“流れ”に注目して見ていきましょう。

 問1は、「現在、私たちは『ジュース』『切符』など様々なものを自動販売機で買うことができます。その他に、どのようなものを買うことができますか。3つ以上あげましょう。」というもの。受験生が今すでに持っている知識を引き出す問いです。

 次に問2では、「問1であげたものが売られている自動販売機は、どのような場所にありますか。また、だれが、いつ利用しますか。具体的な場面を想像して書きましょう。」というお題を出しています。ここでは、一度引き出された知識を整理して分析させています。

 そして問3は、「問1、問2であげたもの以外に、もし、あなたが何かを自動販売機で売るとすれば、何を売りますか。それはなぜですか。少なくとも1つは答えること。」というもの。ここで初めて、今持っている知識や情報をもとに、「もし自分だったらどうするか」という創造力を要する問題を出しています。問2で使用した解答欄と同じフォーマットで箇条書きに近いので、問2がきちんと書けていれば答えやすいのではないでしょうか。

 最後に問4。「より良い社会のために、あなたがこれから新しい自動販売機をつくるなら、どのような自動販売機をつくりますか。また、なぜそう考えましたか。理由も含めて200字以内で書きましょう。なお、問3で考えたものを使ってもかまいません。」とあります。問3までの解答を踏まえて、自分の意見を文章にしてもらいます。
 問1で知識を引き出し、問2でそれを整理、問3で自分の考えを出して、問4でそれをまとめる。受験生に一番聞きたいことは問4にあるのですが、わざわざ創造的思考をするための道筋を出題者側が示していることが、この問題のポイントなのです。

 

 

◆道筋があるからこそ、自由な発想が出てくる

 さて、ではなぜ問いを四つ設けてまで、段階的に創造的思考を引き出しているのか。それは、受験生ひとり一人が今持っている知識を使えてこそ、自分の考えを持つことができると考えているからです。
 出題者側としては、一番出したい問題は問4なのですから、問1から3を省いてしまうことも可能でしょう。実際、学校の授業やテストなどで、問4のような問題をいきなり出しているケースはよく見られます。しかしこれでは、文章の形式や構成をどうするかという問題にとらわれてしまい、自由な発想ができない生徒もいます。「できる生徒だけが解けば良いのでは?」と思われるかもしれませんが、道筋を示してあげることで、大人があっと驚くような解答をする子どもがたくさんいるのも事実です。

  実際、先ほど紹介した入試問題について、受験生の解答用紙を見ましたが、とても個性的な答えがいくつもありました。たとえば、自動販売機でおむつを売ったらいいのでは、と書かれた答案。年下の兄弟がいるのかもしれませんね。お年寄りのために背の低い自動販売機を作ってはどうかという子もいました。それから、時代を象徴しているなと思ったのは、「AIに相談しながら買う物を選べる自動販売機」という案。これには驚かされました。
 やり方さえわかれば、非常に多様な解答が出てくるものです。そのために、出題者側がいかに工夫できるかというのは、重要なポイントだと思われます。

 同じことは、入試問題だけでなく学校の授業などについても言えるでしょう。生徒に自分の考えを表現してほしいというとき、教師は、いきなり作文用紙を渡したりするのではなく、自分の考えをまとめるためのプロセスを提示してあげるべきだと思うのです。 
 それぞれの子どもがそれぞれに自由な発想のできる場を、中学受験のときだけでなく、教育全体でこの先作っていきたいものです。

 

 

取材・文/BEST T!MES編集部

 

 

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