狙い目! 「おトク度が高い」私立中学はここだ

 

中学入試が行われる2月まであと1カ月ちょっと。受験校を正式に決めなければならない時期だが、自分の家庭にあう学校をしっかり見極められているだろうか。


■学校選びの際に考慮したいこと

 学校選びの際、偏差値やブランド力を重視する人が大半だろう。ただ、数年にわたって平日毎日通うことになるだけに、その家庭の生活にあっているか、長期的に見て「お得かどうか」という点も考慮しておいたほうがいい。

 特に共働き家庭。子どもの帰宅より親の帰宅時間がずっと遅く、空腹の子どもが何時間も夕飯を待つ、つらい生活をしている家庭も多いだろう。子どもが塾に通うようになり、親の帰宅後慌てて夕食を食べさせる、もしくは夕食用のお弁当を持たせるなど、慌ただしい日々に拍車がかかり悲鳴を上げる人も少なくない。

 しかし、そうした共働き家庭の状況にもあう学校を選べば、中学入学後の生活にぐっとゆとりが生まれる。

 具体的には、「授業後の学習」にも力を入れる私立中学に注目してほしい。予習型の講座や補習者向けの講座など、日々の授業をサポートする講座を用意する学校がある。部活動終了後からでも使える自習室がある学校もあり、放課後の居場所としても使える。

 また、学校が塾のような機能を兼ねてくれれば、大学受験対策を含めて学校だけで勉強を完結させられる。通塾の必要性も薄くなり、学校と塾のダブルスクールという子どもの負担も減らせるのだ。

注目すべきは

 ところが実際のところ、偏差値的な人気校にはこうした機能、手厚い指導は期待しにくい。中学受験に詳しい、中学受験情報雑誌『私立中高進学通信』の元編集長の富田亮氏は「授業がしっかり理解できていれば、補習の必要はない、というのが上位校の基本的な姿勢」と指摘する。ただ、上位校にギリギリの成績で入学した生徒の場合は大変だ。授業についていくために結局通塾が必要になってしまう。

 そこで注目したいのが、偏差値がそれほど高くなく、かつ生徒数に対して先生の数が比較的多いなど指導が手厚く、中学偏差値よりも高校偏差値が上がっている中高一貫校だ。きめ細かな指導が期待でき、入学後に大きく伸びる生徒が多い。

 また、今の中2が大学入試をする頃には、新大学入試により、入学基準が変わる。現在の偏差値の高いブランド校より、サポートが手厚い学校のほうが得になる可能性もあるのだ。

 では、まだ人気爆発まではしておらず、学力的な支援が手厚い注目の学校はどこなのか。私立校の取材をしてきた筆者がこれはと思う男子校、女子校、共学校それぞれ1校ずつを紹介したい。

■偏差値30台から東大現役合格を出す足立学園

 まずは足立区にある中高一貫の男子校、足立学園。2014年度には現役東大合格者を2人出し、コンスタントに国公立、有名私立大学へ入学者を出している。中学の募集人数は140人。

 驚くべきは東大現役合格者の中学入学時の偏差値。東大に合格した2人ともが入学時は30台後半という偏差値だったというのだ。同校は教師が教える授業後の講座の豊富さや自習室整備が特徴なのだが、それらをフルに活用。6年後に見事東大合格を勝ち取った。

 大学入試直前の12月に開校する「直前ゼミ」は予備校も驚く113講座のラインナップ。定期考査終了後、通常授業はなく、生徒は必要に応じてこの講座を受講する形となる。講座は冬休み中も開講、学費に講座費用も含まれているため、別料金の徴収はない。

 「生徒のスイッチはどこで入るかわかりません。生徒のやる気を出させるためにあらゆることをしてあげたい。本校教員が講座も担当するため、教員側の負担は増えますが、教師とは生徒の成長を助けるのが仕事、苦ではない」。そう話すのは同校進路指導部長の馬止久之教諭。

 個別ブースの自習室は、都内最大規模の260席を確保、朝7時から午後8時まで(中学生の利用は午後6時まで)利用できる。放課後の講座と自習室の活用で成績を伸ばす生徒は多く、昨年度も筑波大学に現役合格者を2人輩出、難関私立大学へも多くの生徒を送り出している。

 

都内の伝統女子校のひとつ

 数年前から中学入試で特別奨学生入試を開始し、入試得点上位者だけで作るクラスを設けるようにした。今年度はその一期生が卒業を迎える。今年度の大学入試、どのくらいの伸び率になるのか期待が高まる学校だ。

■学力向上に舵を切った女子聖学院

 創立111年を迎える都内の伝統女子校のひとつ、女子聖学院にも注目したい。同校は、数年前より学力向上に舵を切り始めた。具体的には、同校教員が授業後や長期休暇中などに開講する「JSG講座」を開設。さらに放課後学習支援センター「JSGラーニングセンター」も設置している。

 個別ブース117席、満席の場合はLL (Language Laboratory:言語実習)教室とPC教室も開放し、213席を確保する。自習室の利用は中1が午後6時(希望者は午後7時まで)、中2~中3が午後7時、高1~高3が午後8時まで。センター専属の講師が入退室をチェック、希望があればその日の授業の復習や予習、演習用のプリントを出してくれる。

 進捗具合は個別のファイルで記録、チューターも常駐し、わからない所があれば質問することができる。講座と自習室の利用は学費に含まれているため、費用の追加徴収はない。有料のオプションで受験対策に詳しい講師によるマンツーマンの指導を受けることもできる。

 「生徒へのアンケート調査の結果、学校から帰宅後すぐに予備校に登校する生徒が多かった。大きな駅前の予備校に通う生徒が大半で、予備校へ通うのにも時間がかかる。“学校の自習室がもっと使えたら”という生徒からの声もあり、それならばと、自習室の開室時間の延長、個別ブースの整備、講座の充実をはかりました。上質な学習環境を整備し“入って伸びる女子聖学院”を目指しています」と同校教頭・進路指導部長の塚原隆行教諭は話す。これらの仕組みを導入して以降、通塾率が減り、結果が少しずつ見え始めているという。

 現在の高校3年生が中3の時に、JSG講座が開講。ラーニングセンターは昨年の9月から稼働した。女子中高一貫校の場合、入学後の模試の成績は一般的に中2、中3でゆるやかに下降していくことが多いといわれるが、現在の高3生は伸びが止まることなく、徐々に上昇を続けていると言う。

 今春の卒業生の中には講座と自習室の利用で中学入学時40台の偏差値から早慶に合格した生徒も出た。講座、自習室の両方を中1から享受できたのは今年度の入学生からだ。1年でも結果を出しているだけに、6年での成果に期待が高まる。

 この威力に気づいた保護者は少ないのか、2017年度中学入試でも模試の結果は今のところそれほど高い偏差値ではない。昔から定評のある英語教育に加え、アクティブラーニングなど新大学入試対策にも早くから力を入れており、今後、進学実績は躍進すると予想される。高校入試はなく完全中高一貫校のため、“今が狙い目”と言えるだろう。

 

 

最後は中野区にある共学校

 最後に紹介するのは、いち早く授業後講座や自習室の開設を行なってきた中野区にある共学校の実践学園中学。2011年に自立した学習を促すための校舎「自由学習館」を正門から徒歩1分の場所に土地を取得して建設した。通常授業の予習、復習的な講座をはじめ、難関大学受験対策の講座など、さまざまなレベルの講座を充実させてきた。

■ 実践学園中学が新説した「自由学習館」の実際

 「自由学習館」と校舎内の学習室を合わせると、自習ができる席数はテーブル席を合わせて410席。本館校舎内、中学高校の職員室近くに設置した「予習・復習学習室」では教科担当教員の指導を気軽に受けることができる。職員室前にも机を設置し、勉強でわからないことが出てきたらすぐに聞ける環境を整えている。

 「2つのお得を約束する」と話すのは同校の中高一貫教頭・廣瀬享矢教諭。時間と費用の面でお得感を感じられるはずだと話す。

 「日本にまだ電子黒板ができる前から、板書による授業時間の無駄をなくそうとイギリスで利用が始まっていた電子情報ボードを採用し、授業で活用していました。授業後の講座も予備校へ通う通塾の時間の無駄をなくすために始めました。費用もすべて最初に提示した金額しかいただいておりませんので、経済的にもお得だと思います」(廣瀬教諭)。

 「J・スクール」と名付けられた授業後の講座はすべて希望者制。中学生は7時間目、高校生は7、8時間目として毎日講座を開講している。当初は予備校の講師を学校に招いて講座を開いていたが、近年は同校教師が担当している。

 教える側の教授力の強化を図るため、教師の同校専任率も75%まで上げた。「私学は非常勤講師の割合が多いところもありますが、本校では専念できるため、熱心な教員が多いです。公立校では夕方になると職員室はガラガラという学校もあるようですが、うちは違います。とことん生徒の勉強に付き合います」と廣瀬教諭は力説する。

 学費が高いようにも見えるが、事実、これ以外の徴収は部費と修学旅行などの旅費のみ。講座の受講が少なければその分は返還もしてくれる。

 学習室の利用は中学生午後6時半、高校生で午後7時まで。かつて高校生の予備校利用率が9割あったが、講座と自習室の稼働後は1割に激減。通うとしても1科目のみ受講など予備校利用率が大きく減った。これに反比例するかのように大学の合格実績は上昇、2004年度に19人しかいなかったGMARCHの合格者数が昨年度は108人まで上昇した。同校の場合、全国大会に出場する部活動も多く、部活と受験の両立を果たして志望校への切符を手に入れる生徒が多いのも特筆すべき点だ。

 今回紹介した学校以外にも、都内にはこうした設備を整える学校が増えている。もちろん、どの学校も通常授業が基本だが、勉強はどれだけ時間を確保できたかが勝負となる部分もある。夕方に自宅に帰っても親の目は無く、子どもたちには携帯電話やゲームなどの誘惑も付きまとう中、放課後を安心して預けられ、学力を伸ばしてくれるとなれば、あらゆる意味でお得な学校と言えるだろう。

 

東洋経済オンライン 12/29(木)

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