“日本最強の進学校”灘高、やんちゃ集団が生まれ変わる「秘密の廊下」とは?

 

 日本最強の進学校はどこか――。「ビッグスリー」と呼ばれるのは東京大学合格者数トップの私立開成高校(東京・荒川)、筑波大学付属駒場高校(東京・世田谷)、そして私立灘高校(神戸市)。特に灘は国内最難関の東大理科三類や京都大学医学部医学科の合格者でトップを走る。灘の強さの秘密に迫るため、神戸市の同校を訪ねた。

 


■異才 中島らも氏も最後まで同級生


 「まあ酔っ払いでしたが、面白い男でした」。灘中学・高校の校舎中央にある図書館。卒業生が出版した本を集めたコーナーを前に、同校の和田孫博校長は懐かしそうにこう振り返る。和田校長は同校出身。同級生には異才の作家、故中島らも氏がいた。


 好成績で灘中に合格したが、バンド活動に明け暮れ、「有名大学なんか行かなくても生きていける自信があったんでしょうね。勉強は全然しなかった」(和田校長)。大半の友人が東大や京大、他の国立大学の医学部に進学するなか、道を外れた。しかし、和田校長ら灘の同級生たちは中島氏の晩年までよくつきあったという。


 「灘の同級生はとにかく個性的で、バラバラなんだけどなんか仲がいい。刺激的だからじゃない。やはり関西なのか奇人変人でも、おもろいやつなら大歓迎という雰囲気がある」。同校OBの大西賢・日本航空会長はそう話す。いまも2カ月に1度は灘の仲間と食事会を開く。同級生にはフジテレビの元ニュースキャスターから神奈川県知事に転身した黒岩祐治氏や、副業を認めるなど独自の経営で知られるロート製薬会長の山田邦雄氏など個性的なリーダーが多い。


 「自由奔放な学校です。高3のころ、授業を抜け出して喫茶店でたむろしていても、そばの席にいた教師は見て見ぬふりをしてくれた」。うどんすきの有名チェーン、美々卯(大阪市)の薩摩和男社長はこう話す。同氏は灘から東大文科一類に進学、その後、修業期間を経て家業を継いだ。この10月、灘の同窓会長に就任した。


 灘のいずれのOBに話を聞いても、自由で個性的な「やんちゃな集団」という話ばかりが聞こえてくる。有名進学校のイメージとはかけ離れているが、実は彼らが猛烈な受験生に変身するある空間があるのだ。

 

 

 

“日本最強の進学校”灘高、やんちゃ集団が生まれ変わる「秘密の廊下」とは?

灘中学・高校の職員室前の広すぎる廊下にはテーブルやいすもある。中央は和田校長

■職員室前に異常に広い廊下

 「ほら、職員室の前の廊下が異常に広いでしょ。テーブルや椅子もたくさん置いているし、ちょっと他の高校と違うと思いませんか」。和田校長は灘の職員室の前に案内してくれたが、確かに廊下とは思えぬ広い空間がある。


 「ここが午後3時以降、ワイガヤ空間に変わります」。高2の夏以降、部活など終了し、灘高生は受験態勢に入る。すると、授業の終了後、この職員室前の広い廊下に三々五々集まり、同級生たち同士の「勉強の教え合い」が始まるのだ。自分たちで分からなければ、担当教師に聞く。「とにかくうるさい」(和田校長)。関西弁がこだまするワイガヤ状態が退校時間の午後6時まで続く。


 「彼らはある意味ライバルですが、口に出して、教えることで自身の頭も整理され、様々な難問も解けるようになる。教えることが結局、自分にも相手にもプラスになることを知っている」と和田校長は説明する。実際、「僕なんて東大は全然無理な成績でしたが、仲間に助けてもらってなんとか現役で受かった」(東大工学部3年生)と話す卒業生は確かにいる。


 灘の校是は、講道館柔道の創始者で、同校創立時の顧問、嘉納治五郎が唱えた「精力善用」「自他共栄」だ。全力を尽くし、自分だけではなく他人との共栄をはかれ、という意味だ。神童と呼ばれる灘校生は、時にはわがままで、独善的な言動をとることもあるという。自由な校風だが、和田校長はこの校是だけは口酸っぱく生徒に伝える。

 

 

■入試科目に社会科がない

 最後になったが、この灘中学・高校に入学するには独特の入試がある。中高入試ともに社会科が入試科目が課せられていないのだ。灘中の場合、国語と算数は2日間にわたって入試があり、1日目は基礎力、2日は応用力をはかる。両科目ともそれぞれ200点満点+理科があり、500点満点で合否を決める。灘高だと、そこに英語は加わるが、やはり社会科はない。灘が問うのはあくまで論理的に物事を考える力で、暗記力ではないからだ。社会科があれば、詰め込み型の受験になる可能性がある。


 和田校長は「社会軽視ではない。むしろ社会嫌いになってほしくないから」と話す。日航会長の大西氏は「社会科がなく暗記重視でなかったので、受験勉強にそんなに時間をとられなかった」と振り返る。

 

 

筑駒、開成 灘に合格すれば三冠王

 灘中の入試は1月中旬、あと1カ月に迫っている。「東京からもたくさんの生徒が受験に来てくれます」(和田校長)という。「関東では開成、筑駒、そして灘に合格した生徒を『三冠王』と呼ぶ」と東京の有名進学塾、早稲田アカデミーの講師は話す。首都圏の生徒は筑駒や開成に合格すれば、灘には進学しないケースがほとんど。しかし、灘には関東など東日本出身者のほか、「名古屋や岡山から新幹線通学している生徒もいる」(和田校長)という。来年も全国から多くの神童たちが神戸に集結しそうだ。
(代慶達也)
 

 

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