「公立に行く」と決めた親が持つべき"覚悟"

 

「公立に行く」と決めた親が持つべき

 

 

小学校低学年から高学年、そして中学生へ……。周囲に私学を受験する子も増える中で、わが子の成績や先々の進路がまったく気にならない親はいないだろう。どうすれば少しでもいい点が取れ、より上位の学校に進学できるのか。そもそも子どもにやる気を起こさせるには? 
約25年にわたり学習塾を運営し、3000人以上の子どもを指導、成績向上に導いてきた石田勝紀氏は「心・体・頭のしつけ」をすることが重要と語ります。この連載では石田先生の元に寄せられた親たちのお悩みに答えつつ、ぐんぐん伸びる子への育て方について考えていきます。

【質問】
初めまして。わが家には2人の娘がおります。上の子は小学校6年生、下の子は3年生です。私から見てもそこそこ頭が良いと思いますが、今後、公立の学校で周りに合わせる教育の中で、停滞してしまい、そのままになってしまうこともあるのではないかと心配しています。うちは、経済的にも私立学校へ行かせることができないので、公立進学になるのですが、どういった点に気をつけていけばいいでしょうか。
(仮名:横溝さん)

 


■ 前向きな意見も増えている

 【石田先生の回答】

 横溝さん、お便りありがとうございます。私立中学への進学率が高まる中、公立中学校へ進学する方からのご相談は近年増えています。一昔前は、荒れた中学校へ行かせたくないという理由から私立を選ぶ方も多かったと思いますが、最近では、特色ある教育方針に共感することや、子どもの学力を伸ばすためといった、前向きな意見も増えてきました。そうした機運がある一方で、本当は私立へ進学させたいけども、経済的に難しいという状況の方も多数いらっしゃいます。

不安を抱えている方へ

 私は、国立、私立、公立いずれの中学校へ進学するかは、ご家庭のさまざまな事情、教育方針によって選択すればいいと思っていますので、特に、私立がいいですよ、公立がいいですよとはお答えしません。しかし、本当は私立がよかったけども公立へ行ってしまった、または不安を抱えながら公立へ進学させたと考える方には、次のようなお話をします。

■ 公立=学力の停滞ではない

 1.公立中学だから、「勉強ができない、ほどほどで終わる」という考えをまずは捨てましょう

 私立中学進学に向けての勉強をする場合、程度の差はありますが、かなり中学の勉強の先取りに近いことをやっているため、中学校入学の段階では、受験勉強をしてこなかった生徒に比べ、日本全国的にみれば学力が高い位置からスタートすることは間違いありません。また、中学受験の勉強をしていた子が、受験に落ちて、公立に進学する場合でも、公立学校の授業はかなりやさしく感じ、優越感を持つこともよくあります。一方で、内容が易しく感じるために、勉強に対する向上心がなくなる可能性は、横溝さんがご心配されるように確かにあります。

 しかし、他方で、このようなケースもあります。中学受験の勉強をせずに、公立中学へ進学し、そこで上位またはトップの成績をとり、その後、地元の公立の進学校へ進み、東京大学はじめ有名大学へ現役で合格するというものです。

 私が通っている東京大学大学院に在籍する東大生にヒアリングした結果では、特に地方出身ではこのようなケースがかなりあります。また、私が主宰する進学塾は中学受験を対象としていませんから、公立の小学生、中学生ばかりです。進学する高校も神奈川県立高校など公立の進学校がほとんどで、その後の追跡調査をすると、有名国公立大学へ現役で進学した生徒や早稲田大学の学費免除の特待生になった生徒などがかなり多数います。そのような生徒は皆、地元の公立中学校で、しっかりと基礎学習を行い、友達をたくさん作り、部活もやって中学生活を楽しんでいた生徒ばかりです。

 まずは「『公立=学力の停滞ではない』という事実が厳然としてある」ということを認識してみてください。公立中学だから、「勉強ができない、ほどほどで終わる」という考えは捨ててしまいましょう。

 

飛躍のチャンス

 2.公立中学校だからこそ、飛躍のチャンスがあると考える

 もし、そこそこ学力があるのであれば、クラスで一番になれる可能性があるので、トップレベルになることを目標にしてみましょう。それによって自信がついていきます。

 優秀な生徒ばかりいる学校は、全体的に思考水準が自然と高まるというメリットもありますが、そのような場で優秀な成績を修めることは容易ではありません。繊細な神経を持つ子どもの場合、自己重要感が低下し、自信喪失になる可能性もあります。ですから、社会の縮図のような世界である公立中学校で、自らの存在価値を高めるということができる可能性もあるのです。

 しかし、いくらそういわれても、「周囲の雰囲気に悪い意味で同化してしまうのではないか?」という疑問は消えません。そして、私立中学への進学を希望する保護者の中には、「流されてしまったらどうしよう」という不安感が支配している人も少なくないことでしょう。そこで、これまで私が指導してきた生徒を見てきて、わかったことについてお話しましょう。

■ 流されやすいタイプの子の特徴

 それは「周囲のネガティブな環境に流されやすい生徒」と「流されにくい生徒」の特徴です。

【ネガティブな環境に流されやすいタイプの子】
・生活習慣が乱れている子
・精神的に幼い子
・基礎学力がない子

 筆者の経験上、流されやすいタイプの場合、ほっておくと「類は友を呼ぶ現象」が起こり、同じタイプの子を引き合わせ、負の増幅が起こることも少なくないと感じます。こうした懸念がある場合には、一定期間、教育的活動を親としてサポートする必要があります。

 ここでもっとも大事になるのは、「生活習慣」を小学校時代にしっかりと正しておくことです。特に、重要なことは「時間を守る」ことです。時間を守ることは約束を守ることにつながります。生活の乱れは、時間から始まります。ここから負のサイクルが動き始めてしまいます。

 次に、精神的に幼い子の場合です。素直さがあるという意味では、よい事なのですが、易きに流れやすいという傾向も同時にもっているため、善悪の判断についてしっかりと教えておくことが大事です。

 

善悪の判断の教え方

 では善悪の判断をどのようにして教えていくのかといえば、それは日常生活の中で、たとえささいなことであったとしても、親が悪いと思うことを子どもの前で見せないことです。たとえば、赤信号で車が来ていなければ渡ってしまうことは誰しもあることでしょう。しかし、子どもが周囲にいるときは、絶対に悪い見本を見せないことです。このようなささいなことの積み重ねが大切になります。

 最後に基礎学力についてです。結構、驚くことですが、中1の段階で掛け算や割り算が怪しい生徒が、意外とたくさんいるのです。公立の小学校で普通にやっていたら、普通の基礎学力がつくのですが、どうやら普通にやっていないために、このようなことが起こります。また、そのようなわが子の現実に親が気づいていないことが多く、びっくりすることがあります。最低限、小学校で学ぶ基礎ができていないと、当然、公立の中学校でもついていけません。

 横溝さんの場合は、お子さんに基礎学力があるようですので、この項目については問題ないと思いますが、学力が二極化している昨今、このような状況もあるのです。

 以上、公立中学校への進学の場合に関して、どのように考えていけばよいかという点について話をしてきました。

■ 生活習慣を整えることをつねに忘れない

 あらためて申し上げますが、「私立に行かせたいが、経済的な理由で行かせられない、だから仕方ないので公立へ進学させる」というネガティブな感情を持つことは、あらゆる点で不平不満となって表れてきてしまいます。したがって、その考え方とは決別し、「公立でしか学べないことがある。チャンスは豊富にある」という意識を持ち、お子さんにも、そのような希望ある未来が待っていることを教えてあげましょう。もちろんネガティブな環境に巻き込まれないよう、生活習慣を整えることをつねに忘れないようにして過ごしていただくとよいでしょう。

石田 勝紀

 

 

東洋経済オンライン 8月25日(木)

 

 

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