中学受験300万円、留学半年で200万円…。これだけかけて最終学歴がGMARCHでいいのか?

 

日本でどんな高校に行っていても、「編入」という方法で、東大や京大よりランキングが上の海外のトップ大学に行ける! という方法を紹介した『東大・京大卒に勝てる! 世界のトップ大学に編入する方法』も好調な山内勇樹さん。
一方で、5000組の親子と面談してきた教育コンサルタントで『できる子はどっち? 』という著書もある沖山賢吾さん。
このおふたりの連載第2回目は、「アメリカ留学費用は本当に高いのか? 」を検証。就職まで考えるとすぐにモトが取れる留学を選ぶのもアリ? 
(取材・文 黒坂真由子、撮影 宇佐見利明)

● 知らず知らずのうちに 教育費が積み上がる! 

 沖山 海外留学はお金がかかる、とよく言われますけど、日本での教育も実は結構かかっているんですよね。

 山内 ええ、確かにアメリカはここ数年、授業料が高くなって、さらにそれ以外に生活費もかかりますから「高い」と考える親御さんも多いです。でも、もらえる給付型の奨学金も多いですし、私のイメージとしては、日本で中学受験してちょっと高い私立大学まで行かせた場合のトータルの金額くらいかな…と思います。

 沖山 データを見てみましょうか。文部科学省が調査している「子どもの学習費調査」というものがあって、授業料だけでなく、塾や習い事などの費用も含めた数値が公表されているものです。

 あと、大学の費用は、日本政策金融公庫総合研究所が公表している「教育費負担の実態調査」で、大学入学費用、および在学費用の平均値が出ています。このへんのデータを拾って「小学校から大学まで全部公立だったら」「全部私立だったら」というやつを計算してみました。保険会社やFPなどがよく使っているものです(笑)

 山内 最新のデータ(平成26~27年度)によると

・全部公立だとトータルで984.8万円
・幼稚園と小学校だけ公立で、中学以降全部私立(文系)だと1635.5万円
・全部私立で大学も理系だと2589万円

 となっていますね。

 沖山 でも、これって、私に言わせれば全然、実態を伴っていない実感があります。大阪を含めた首都圏の親達は、もっともっとかけていますよ。「小学生で1年間に使う塾代(学校外活動費)が約22万円」などとなっている。ありえないでしょ。桁が違いますよね。地方はもちろんそういうところもあるかもしれないけれど、都市部になればなるほど、お金を使っているから。

 山内 全国の「平均値」で算出していますからね。

 沖山 平均値だと、100万円支出している人と、塾にいかない0円の人がいたら、50万円の平均になってしまう。中学受験しない人は受験の塾に行かないですからね。

 「中央値」にしたらもう少し全体像が見えるのにね。こんな数字では実体はわからないし、データを鵜呑みにしてはいけないんです。みんなもっとかけているんだから。特に私立に進学させるなら、データ以上にかかることは覚悟しておいた方がいい。実感としては中学から私立だと、トータルで2000~2500万円、家庭によってはそれ以上はかけていると思います。

 

● 授業料+オプションで 中学受験は300万円はかかる! 

 沖山 先ほど、実感としては中学から私立だと、トータルで2000~2500万円、それ以上かけていると思いますといいましたが、内訳は、中学受験の塾代と私立6年間と大学受験準備や大学卒業までの費用です。さらに大学で一人暮らしとかするならもっとかかります。

 山内 中学から大学までのトータルを考えるとけっこうな額になりますよね。

 沖山 先ほどの文科省のデータでは小学生の塾代は年間約22万円ですが、あれは受験しない子も混ざっている平均値ですよね。実は中学受験をするとなったら少なく見積もっても300万円くらいはかかるんです。

 私が勤めていた塾ではたった1年で300万かける親もいました。小6だけでですよ。夏合宿とか、冬期講習とか、直前合宿とか。科目ごとに月額の授業料とは別に加算されますし、さらに最近では、塾通いの低学年化が進んでいて、小1から通う子もいますからね。

 それで無事、私立の中高一貫校に進学して、6年間の授業料だけで600~800万円。さらに学校の授業の一環で「3ヵ月の海外研修」なんて、今はやりの短期留学のオプションが付くと、また跳ね上がる(笑)

 山内 ああ、それ、留学コンサルタントとして短期の提携留学には、「行くな」とはっきり言っています。立場上、留学の応援をしたいんですけど、ああいう留学ってお金だけかかって得るものが非常に少ないからです。

 沖山 夏休みに2週間行くだけで40~50万円とか、1年行くと300~500万円取る学校もありますよね。

 山内 それだけかけるなら、普通に海外の四年制大学に進学すればいい。確かにアメリカの私立大学だと高いですが、州立であれば無理な金額ではありません。短大は年間1万ドル程度、大学は、その大学によって費用はまちまちですが、奨学金の取得だったり、為替も1ドル100円前後であればサラリーマンの家庭でも可能な金額です。私の知り合いで、もらえる奨学金を自分で探し出して、日本でのアルバイト代を足して、費用を全部自分で賄ったという子もいました。

 また学歴にしても、トランスファー(編入)ルートを使えば、東大・京大よりはるかにレベルの高いトップスクールに入ることも可能ですから、コスパで考えたらこっちのルートの方がお得です。

 沖山 僕もそう思います。前回も言いましたが、中学受験時からそんなにお金をかけてるのに、費用対効果として、最終学歴がGMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政)でいいのか、と言っているわけです。

 

● 英語力に不安がある場合は、 短大と提携の語学学校に行けばOK

 沖山 英語力がないと難しいと、皆さん思っているのではないですか? 

 山内 それはありますね。でも、私の勧めている方法であれば大丈夫です。ただ、安易に「英語力は無くても大丈夫! 」と考えてしまうのは違います。トランスファー(編入)ルートでも、フレッシュマン(一般入試)ルートでも、英語力が高いほど成功率は高くなります。留学する時点で、英語力は無いよりは有った方がいいのは当然です。それを前提に話しを進めますね。

 沖山 そうですよね。もちろんあったほうがいい(笑)。

 山内 まずはアメリカの語学学校で3ヵ月ほど学び、それから短大に進学するという方法があります。語学学校でしっかり英語力をつける期間を取ってから、短大に移るのです。もちろん、TOEFLというテストで一定の点数(37-61点)を持っていると、語学学校にいく必要はありません。

 今お子様が中学生、高校1年生あたりで、英語をしっかり習得する時間があるのであれば、英語力は高めておくことを強くお勧めします。

 沖山 もし仮に、高校2-3年生で、そこまで英語力が身についていない、という場合はどうでしょう? 

 山内 そういった状況であったとしても、希望がないわけではありません。上記のように語学学校をに行けば入学できるルートもありますから。

 沖山 英語力に不安がある場合は、まず語学学校に行くと。

 山内 はい、そうです。そして短大に入ってから必要な英語力ですが、短大ではまずは英語力のあまりいらない体育や数学などの科目を選択します。英語力が必要な歴史、哲学、文学のような科目は後回しにするのです。

 後に四年制大学にトランスファーすることを念頭において授業選びをしていけば、まじめに勉強するふつうの学生であれば、四年制大学に編入することができるんですよ。それに、10代の子がやる気になったら1年かからずに、英語はマスターできますから。

 沖山 費用を心配する親御さんも多いようですが、前回、山内さんが言ったように「高校まで全部公立、そして留学」がこれからの賢い選択だと思います。

 3ヵ月の短期留学に100万円以上かける私立に行くくらいなら、アメリカの大学に進学させればいいんですよ。編入という方法を賢く使えば、トップスクールに入れる見込みがあるんですから。

 山内 交換留学とかね。流行っていますけど、どうせお金をかけるなら、きちんと四年制大学に入って、みっちり勉強してきた方が、英語も身に付くし、本人のためにもいいと思います。

● 金銭的にも、留学はリターンが大きい

 沖山 卒業後のリターンが大きいのも留学のメリットですよね。UCバークレイに留学して、その後ウォール街で働いていたお母さんと話す機会があったので、「けっこう学費、高かったんじゃないですか? 」って聞いたんです。そうしたら「いや、数年で返済できたので、なんてことないです」だって。

 山内 金融系はそうなりますよね。年収がすぐに1000万円超えとかの世界ですから。あといいのは法律系です。これだけグローバル化すると、国際的な訴訟が発生してきますからね。これらの分野に進もうと考えているなら、留学した方がぜったいにいい。

 沖山 あと会計関連もいいでしょうね。英語と専門知識を身につけることができたら、その後はどこで就職しても高いお給料がもらえるので授業料なんてすぐに返済できてしまう。

 

● 海外の一流大学の平均給与は、東大の倍! 

 沖山 高い教育費の元が取れるか、は気になるところですよね。

 山内 日本では、やはり平均給与のトップクラスは東大、京大なんです。学費は安いし、東大・京大のコスパはすごくいいと思います。でも海外大学もかなりいい。
ちょっと古いですが2009年の『AERA』に掲載された調査だと、東大1位、京大2位、それに続く3位が「海外の大学」でした。この海外の大学は一流である必要はない。あまりぱっとしない大学であっても、それが海外の大学であれば年収は高くなる可能性があるということです。

 沖山 一流じゃなくても、海外の大学を出さえすれば、東大、京大クラスの年収に近づけるということですね。

 山内 そう読めますね。上位は国立大学ばかりですし、日本の私立大学に行くよりは海外の方が年収が良さそうです。また、「キャリアコンパス(DODA)」が公表している、「国内・海外全160校出身大学別年収ランキング」という別の統計では、海外のトップ大学に行った人の平均を見たら、東大の倍だったんです。

 沖山 倍ですか! 

 山内 一番高いのは、ニューヨークにあるコーネル大学で、30代前半で1900万円とか(笑)。そんな世界です。

 沖山 平均、というのがすごいですよね。
やっぱり、どうせお金をかけるんだったら、学内の短期留学なんかに払っている場合じゃないですね。

 「費用対効果」などというと、教育にそぐわないように思われるかもしれませんが無尽蔵に出費できるならともかく、そうでないのならしっかりと考えるのが当たり前の時代になってきていると思います。

 

山内勇樹

 

 

ダイヤモンド・オンライン

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