私立派vs国公立派 「就職に有利」なのはどちらか

   

■都立高の進学実績はなぜ急落したのか

 幼稚園から大学までの19年間をすべて公立ですごすと教育費は約1000万円。一方、すべて私立では約2300万~2500万円がかかる(図1)。ブランド力のある学校に通わせたいと考える親は多い。だが、それは意味のあることなのか。

 たとえば都立日比谷高校の場合、かつては東京大学への進学実績でダントツだったが、東京都が「学校群制度」を敷き、その制度下での卒業生に切り替わった1971年度以降、上位10校にも入らなくなった。学校群制度は、各校の学力平準化のため、学区内の自由な志望を禁じ、優秀な生徒を複数の学校に振り分けた。日比谷高校は新制度になったからといって、教師が代わったわけではない。つまり進学実績を左右するのは、教師の質ではなく、生徒の質なのだ。私がみるところ、少なくとも東大合格を狙う「SS」ランク校では学校の「教育力」はあまり意味がない。

 ただし、早慶クラスを狙う「S~A」ランク校では教育力の効果は小さくない。「尻の叩き方」によって学力が変化するので、スパルタ式の詰め込み教育がうまくいきやすい。

 私立のブランド校にはスパルタ式で進学実績を伸ばしているところがある。ただ、こうした「特訓」は真似しやすい。そのため、最近では公立の「S~A」ランク校にも同様の仕組みが広がっている。放課後・土日・春夏冬の休みには有名予備校のカリキュラムで講習を行う。もはや学費の高い私立のブランド校にこだわる必要はないのだ。またスパルタ式の私立校は、企業の採用担当者の評判が悪い。受け身が癖になり、教養や遊びの幅がない。その結果、社会人としての行動力に欠けるからだ。

 

 

■「工学部」出身者がリストラの標的に

 大学については、よく「理系は文系よりも就職に有利」などと聞かれるが、誤解がある。まず理系の就職率は決して高くない。なかでも「理学」(数学や化学など)は文系と同じかそれ以下だ(前ページ図3)。「農学」や同じ「理学」でも生物学などはやや高いが、これは就職できなかった学生が仕方なく大学院に進んでいるだけで、就職率の高さは見かけ上のものにすぎない。結局、理系で就職に有利といえるのは「工学」(機械工学や電気通信工学など)だけなのが実状だ。

 その工学部も採用の中心はメーカーで、入社後も安心できない。大手メーカーでは、工学部の出身者を数百人単位で採用する。出世コースに乗れる人間はごく少数で、多くは製造工程に近い部署で働く。そうした末端のエンジニアは、30代後半に技術系に残れるかどうかの選抜を受ける。3割程度は技術系から出され、教育・労務・購買・システムといった部署をローテーションすることになる。こうした専門性をもたない「エンジニア卒業組」は、これまで大量にリストラされているのだ。

 では文系はどうか。大企業の採用担当者の間では、最近、MARCHクラスだけでなく、早慶クラスに対しても厳しくみるようになっている。なぜなら一般入試を経ず、AO入試や学校推薦による入学者が、私立では半数近くを占めるからだ(前ページ図2)。

 代わって評価が高くなりつつあるのが地方の国公立大学だ。総合的な学力を持つため、入社後ものびしろが大きいと期待されている。たとえば熊本大学では、3月に優良企業の個社説明会を集中実施している。2014年度は約160社が熊本に集まった。就職実績も高い(図4)。

 また地方の国公立大学は、各地域の「ミニ東大」として、県庁や地銀、電力、鉄道、新聞、テレビなど地元の優良企業にも強い。こうした企業の待遇は東京の大企業と比較しても遜色がない(図5)。東京でリストラに怯えながらあくせく働くのではなく、地方で落ち着いた生活を送る。そういう選択肢も教えたい。

 

 

プレジデント 7月18日(月)

 

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