女性の育児休業取得率は9割に迫るが、そこから先の道は平坦ではない。家族がぶち当たる問題の乗り越え方を識者に聞いた。
共働き夫婦が懸念する問題の一つが、「共働きは中学受験に不利なのではないか?」ということ。
仕事が忙しくて、子どもの勉強にかかりきりになれない。そんな共働き家庭は、子どもの中学受験に不利と思われがちだ。
だが、「それは先入観です」と一蹴するのは、2万人の会員がいる「花まる学習会」代表の高濱正伸さんだ。
「小学生の子どもは、上の年代と比べて自力で勉強するのが難しいのは確かです。でも親が何もかもやらなくてはいけないという意味ではありません」
むしろ、親ではなく、塾や家庭教師など信頼できる第三者が関わることでうまくいくケースが多いと、高濱さんは言う。親が働いているぶん、ほどよい距離感が生まれることも。
「働くお母さんは、(気持ちを)切り替える場所(職場)があるぶん、客観的な視点で子どもを見られて、冷静になれるのがいい点ですね」
親が働いていると、子どもの受験にメリットもあるらしい。
「働く親の姿を見せることで、社会の厳しさを伝え、子どものやる気を引き出せます。それに、受験勉強は結局、仕事のようにやれたほうが勝ち。時間を決めて『この時期にここまでやる』『問題点をどう解決するか』という仕事の回し方が、受験勉強そのものなのです。親の時間管理、情報の取捨選択の仕方を、ぜひお子さんの勉強方法に生かしてください」
仮に受験に失敗しても、働く親のほうがくよくよしない傾向もあるという。
「中学受験がすべてじゃない。偏差値が高い大学を出ていても職場では通用しない人を間近で見ていますから、『学歴がすべてじゃない』と痛感しているのも働くお母さんです」
そうした「リアルな経験」が子どもにも励みになりそうだ。(アエラ編集部)
※AERA 2016年5月30日号より抜粋