日本のエリート教育を牛耳るたった2つの塾

 

東洋経済オンライン 2016.1.28    

日本のエリート教育を牛耳るたった2つの塾

 

 

 いよいよ中学受験の天王山を迎える。しかし、その合格発表の直後から、「合格おめでとう!  次は東大だ!」というパンフレットが配布され、6年後の大学受験に向けての攻防が始まることをご存じだろうか。


 高橋康志さん(仮名)の息子・道正くん(仮名)は、第1志望だった駒場東邦(以下、駒東)に合格した。2015年の東大合格者数82名。開成、筑波大附属駒場(以下、筑駒)、灘、麻布に次ぐ全国5位。押しも押されもしない中学受験の超人気進学校だ。

 塾の送り迎えはもちろん、塾がない日は高橋さんが家で勉強を見た。入試直前から当日の約2週間、高橋さんは会社を休んだ。親子ともに、昼も夜もなく週末もなく総力で臨み、つかんだ合格だった。

 合格を確認して最初にしたことは、大学受験塾「鉄緑会」への入塾手続きだった。合格直後のこのタイミングなら、駒場東邦の生徒は「入会選抜試験(以下、入会テスト)」が免除される。駒場東邦は、たった13校しかない「指定校」の1つだからだ。

 小学校を卒業し、中学校入学までのちょうど春休みに当たるころ、私は高橋さんと食事をした。親子で臨んだ中学受験について、これからの6年間への期待と不安について、話を聞いた。高橋さんは、気取ることなく、包み隠さず、「現実」を話してくれた。

 



■ 人気進学校に合格しても、受験勉強は終わらない

 息子が超人気進学校に合格したからといって、嫌みや驕りはみじんも感じられない。まるで「ドタバタ劇」のように話してくれるが、当時は真剣そのものだったに違いない。

 途中、高橋さんの携帯電話が鳴った。「とりあえず今日は単語を覚えなさい。数学は、まだ残ってたっけ?  じゃ、それもだね。頑張ってね」と応じる。息子さんからだった。

 「塾の春期講習の宿題をどこまでやればいいか、確認の電話でした」。高橋さんはちょっと恥ずかしそうに笑いながら携帯電話をかばんにしまう。中学受験が終わって息つく暇もなく、6年後に向けての受験勉強が始まっているのである。高橋さん親子だけではない。道正くんは、春期講習の初日だけで、サピックスの同じ校舎の友達10人と出くわしたという。ほとんどが「α」と呼ばれる最上位クラスの生徒たちで、開成、筑駒、桜蔭など最難関校に合格していた。

 同じ中学受験塾でしのぎを削り合った最上位クラスの卒業生たちが、思い思いの中高一貫校に合格していく。しかしそれからたった6~7週間後、再び同じ塾で出会い、「東大」という同じ目標に向かってともに学び始めるのである。

 

決して偶然ではない。中学受験塾としてひとり勝ち状態にあるサピックスと、東大合格請負塾として知られる鉄緑会の間には、まるで懸け橋が渡されているかのようであることを、拙著『ルポ塾歴社会』(幻冬舎)では取り上げた。「サピックスから鉄緑会へ」。首都圏の学力最上位層にとってはもはや常識であるが、世間一般にはあまり知られていない「王道」が存在する。■ 東大理Ⅲ(医学部)の6割以上が鉄緑会出身

 鉄緑会の東京本校は東大および難関大学医学部を主なターゲットとしている。大阪校はさらに京大もターゲットにしている。大阪校には灘、神戸女学院、洛南の生徒が多い。

 東京本校の高3の生徒数は例年600名程度。同じく大阪校の生徒数は約250名。東大合格者総数は2013年の321名、2014年の334名からさらに増え、2015年は375名となっている。京大への合格者は65名、国公立大学医学部への合格者は431名になる。

 東京と大阪合わせて約850名ほどいる生徒のうち、浪人生も合わせれば、775名が東大もしくは京大もしくは国公立大医学部に合格している計算だ。さらに私大の最難関である慶應義塾大学医学部にも87名の合格者を出している。

 つまり鉄緑会は、日本屈指の進学校に通う秀才を集め、さらに鍛え、確実に最難関大学に合格させる塾なのだ。

 もともと地頭のいい生徒たちに有名進学校の環境が与えられるだけで「鬼に金棒」である。さらに鉄緑会に通えば「鬼に金棒にヘルメット」といった具合。盤石の大学受験となる。

 特に注目に値するのは、東大理Ⅲ(医学部)の定員に占める鉄緑会出身者の占有率。日本における最難関、受験競争のヒエラルキーの最上位のなんと6割以上が、鉄緑会出身者で占められているのだ。



■ 「学歴」よりも「塾歴」

 東大理Ⅲに多くの合格者を出す学校といえば、灘、開成、筑駒、桜蔭あたりが有名。それぞれ個別に見ていくと、たとえば2015年に開成から理Ⅲに合格した14名中13名が鉄緑会出身だ。同様に、灘では15名中13名が、筑駒では9名中8名が、桜蔭でも9名中8名が鉄緑会なのである。駒東からも理Ⅲに3名の合格者が出ているが、実は全員が鉄緑会出身である。

 毎年春になると、週刊誌各誌がこぞって東大合格者ランキングの特集を組み、やれ「開成が1番だ」とか「灘と筑駒はどちらが上か」などということが話題になる。

 卒業生数と東大合格者数の割合から東大合格率によるランキングを作ってみたり、各大学の偏差値と合格者数をかけ合わせて学校ごとの「大学合格力」なる指標で並べてみたりして、「どの学校がいちばん東大に近いのか」「いい大学に行ける学校はどこか」をあの手この手で比べようとする。それによって翌年の中学受験における各学校の倍率が如実に変わる。しかしそれも虚しいことに思えてくる。

 「学歴」よりも「塾歴」。この国では塾が受験エリートを育てているのだ。

 

 

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