【高校受験2016】神奈川公立高校入試、トップ校の高倍率に変化なし…


神奈川県では、公立高校すべての受験において、面接試験が必須となっている。さらに2013年の入試改革で、試験問題の難易度が格段に上がり、思考力や知識力を重視した「特色検査」を採用するなど、独自の教育方針を推進している。他県とは異なる神奈川県公立高校入試の傾向と対策を、湘南ゼミナールの進路情報戦略室長の金澤浩氏と、事業本部教務部長の伊藤圭以氏に聞いた。


◆全国でもトップレベルの難易度

--神奈川県の公立高校入試の特徴を教えてください。

金澤氏:まず最大の特徴は、全公立高校で面接が必須となっており、合否選考における比率が20%と大きい割合を占めています。

 さらに、2013年の入試改革で、難度が格段に上がりました。特に理科は、これまで都道府県別の入試平均点は2番目に高いほど易しい問題でしたが、2014年は全国で平均点が一番低くなりました。それだけ難度が上がっていることを示しています。

 もう1つの特徴が、従来の5科目の入試ではない6科目目の「特色検査」という、思考力や理解力、表現力を問う特殊な入試が一部の高校で導入されています。とても点差が開く入試なので、特色検査を採用している高校の場合は、その対策も必須です。

--近年大きく変わった点や、2016年入試の傾向を教えてください。

金澤氏:新入試導入の最初の2年間と、3年目にあたる昨年2015年では大きな違いがあり、トップ校と言われる難関校の倍率が偏って高くなる傾向がありました。理由としては、大学進学など勉強面での要望が強くなっていることです。この傾向は今年も変わらず、トップ校の倍率は高いままであると予測されます。

 トップ校とは別の軸で人気があるのが、国際やグローバル系の高校で、倍率が高くなっています。難易度に関係なく、「国際」「スーパーグローバルハイスクール」の学校は軒並み人気でした。現状、神奈川県では横浜サイエンスフロンティアと横浜国際の2校は、グローバル教育に関して抜きん出ています。英語や語学だけでなく、異文化交流や違った視点で物事をとらえるグローバル教育という点でも、この2校の人気は続いていくと思われます。

 また、共学化したことで人気になったのが、私立の法政第二です。説明会でも反響があり、新校舎設立や、法政大学がスーパーグローバルの方針を推し出していることもあり、2016年は人気が殺到することが予測されます。

--2016年の入試で、大きな変更点はありますか。

金澤氏:まず、県立横須賀が2016年より特色検査を導入することになりました。検査の内容は公表されていませんが、校長先生のお話によると、60分でじっくり考えて取り組む問題のようです。また、市立南の特色検査が、筆記型からスピーチ形式に変更になっています。

◆学校のカラーが出る特色検査

--特色検査の内容や傾向は、学校から事前に告知はされないものでしょうか。

金澤氏:特色検査を導入した初年度は、ほとんどの学校が大体の傾向を公表していましたが、3年経った今では過去問も出ていますし、特に公表されてはいません。各校で特徴もだいぶ出てきています。

--特色検査を導入する高校は今後増えていくのでしょうか。

金澤氏:特色検査の大きな動きとしては、神奈川県が指定する「学力進学重点校」の条件として、「特色検査を実施している」ことが明記されました。それを受けて、トップ校や学力進学重点校を目指す高校が、新たに始める可能性があります。

 特色検査を導入したい高校は結構多いと思うのですが、試験を作成するのに非常に負荷が大きいため、なかなか導入できずにいる学校もあると思います。以前、独自入試を実施していた、生徒たちにより高い学力を求める学校と、特色検査を実施する学校がかなり一致してきているので、学校の考え方が反映される入試とも言えます。現在筆記型の特色検査を採用しているのは全体の1割弱、実技検査などを含めても2割弱です。


◆トップ校では私立の複数併願が増加

--神奈川県の高校では、さまざまな試みが行われていますね。

金澤氏:指定校においても、他県では見られないぐらいバリエーションがあります。教育過程研究の推進校は公立で5校、国際バカロレアの趣旨をふまえた推進校1校が予定されています。さらに、新しい試みとしては「さかさま歴史教育」というものもあります。これは、通常過去からたどっていく歴史を現代から逆に学んでいく授業として、指定高校で実践されます。

--公立高校受験者は、どのぐらい私立を併願されるのでしょうか。

金澤氏:一般的には、公立高校を1校、併願で私立を1校受験するケースが多いです。ただ、トップ校の受験者は、私立を複数受けるケースが最近増えてきています。併願私立の選択肢が狭くてほぼ決まっていたこれまでに比べ、自分にあった学校を選びたいという傾向が高まり、チャレンジする生徒が増えています。

--平均で何校ぐらい受験していますか。

金澤氏:平均でいうと、併願する私立は1.2校ぐらいで、1校しか受けない受験者の方が、全体としては多いです。トップ校受験者に限っていえば、併願2校が平均です。

◆面接や特色検査対策で受験に備える

--湘南ゼミナールでの入試対策を教えてください。

伊藤氏:中学1年生は3科目で、中学2年生から5科目のコースになります。記述力を求められるため、全学年で記述対策講座がカリキュラムに含まれています。中3から特色検査対策用の講座やトップ校特訓講座もあり、学校別の出題パターンに合わせた対策を行っています。

 さらに、夏には名物の3泊4日の合宿「夏ゼミ」があります。1日で定員に達する人気講座で、中2と中3で同じ特色検査を行うほか、人生の中でも使っていけるようなスケジューリング、課題解決力など、勉強の方法を学ぶ場にもなっています。夏ゼミ参加以降で大きく変わる生徒もいて、受験意欲が高まったり、スケジューリングのレベルが上がったりしています。

--面接の対策もあるのでしょうか。

金澤氏:面接はカリキュラムの中に組み込んであり、面接の受け方から、面接の準備、模擬面接など練習も行います。中3の夏から始まり、まず質問への答えを一緒に考え、プロの作文添削技能士に添削してもらい、きれいな言葉で自分の思いを練っていくことを重視しています。中学生は大人と話す機会があまりないため、面接練習会で経験を積むことで、別人のようにうまく話せるようになった生徒もいます。

--面接の機会は、受験に限らず中学生にとって大きな経験ですね。

金澤氏:大きいですね。高校でも授業でプレゼンテーションの機会が増えていますし、さらに先を見ると、社会で自分の意見を発表するための練習として、とても良いチャンスを高校受験でもらっていると思っています。面接の練習では、生徒たちの将来も見据えて取り組んでもらうことを心がけています。

--特色検査も大きな特徴ですね。

伊藤氏:特色検査は、持っている知識を活用できるかどうかをはかるもので、今までの詰め込み型ではなく、普段の実践力が問われます。

金澤氏:試験が難しいこともあり、「特色検査があるから」という理由で受験を避ける生徒も多いです。しかし生徒には常に、「特色検査を解くために必要な力は、大人になってからも役立つ。これを入試で鍛えられるのはチャンスだから、勉強して受けるべきだ」と話しています。敬遠しがちですが、話すことで生徒も変わりますので、特色検査の授業の最初には、必ずこのことを話すようにしています。


◆知識のインプットと答えのアウトプットを磨く

--入試シーズンに向けてのアドバイスをお願いします。

伊藤氏:11月から12月にかけては、面談で内申点を教えてもらい、入試に臨む準備の時期です。入試に関しては難度が上がり、記述問題が増えているので、書く練習、答える練習が求められていると思います。勉強の際は、必ず自分の答えを書き、それが合っているかどうかの判断を繰り返すことが重要です。

 また、知識を覚える際に、一問一答では終わらせないこと。物事の理由や背景など、原理原則とセットで覚えることです。特に理科では、原理原則をふまえて問われる問題が多いので、こういった知識のインプットが大切だと思います。

金澤氏:毎回の模擬試験に一喜一憂しないように。つい目の前のことを見がちですが、志望校を最終的に決めるのは、年明けでも大丈夫です。伸びる要素はまだまだあるので、1月まではしっかり勉強してください。また、ひとりで戦っているのではないから、壁に当たったら塾の先生や友だち、保護者の方や学校の先生など、周りの人にすぐに相談してほしいと思います。

伊藤氏:授業以外の自習時間に何をするかが重要です。やみくもにやるのではなく、優先順位をつけて勉強してください。あとは、周りの人に支えてもらっていますので「志望校を決めたら必ず親に言いなさい。そして入試が終わったら感謝の言葉を伝えなさい」と生徒に話しています。

--保護者に関して、注意点があれば教えてください。

伊藤先生:志望校を決める時期は、お子さまと話し合いの場をもって、考えを引き出してあげてください。何を軸に学校を選ぼうとしているのか、どんな壁にぶつかっているのか聞いて、そこから導いていってほしいと思います。そして、味方として最後まで見守っていただきたいですね。

◆ラストスパート目前でもあきらめないこと

--ラストスパートに向けて成績が上がる子もいますか?

伊藤先生:この時期に伸びる生徒の特徴は、目標が定まっていること。「○○高校に入りたい」や「医者になりたいから、どうしても国公立大学に行きたい」といった目標がある場合、自発的に努力できる生徒が多かったですね。ここからの頑張り次第で成績を上げることも可能です。

--逆に、夏休み以降伸び悩んでいる場合はいかがでしょうか。

伊藤氏:成績が停滞した原因にもよりますが、内申の良いまじめな生徒の場合、丁寧にやりすぎて時間が足りなくなってしまうケースもあります。その場合は、やるべきことを決めて、精度を上げていくのも一案です。

 また、模試や定期テストの得点がなかなか上がらない場合、勉強量と成果は必ずしも比例しません。すぐに成績にあらわれなくても、その後成果が出てきますので、クヨクヨしたりあきらめたりせずに努力を続けることです。

--入試当日のアドバイスはありますか。

伊藤氏:トップ校受験者でも、満点を取ることは難しいと思います。特に特色検査はまず無理と考えていいほど難しいです。そのため、時間配分を考えできるものから取り組むことが大切です。

 5科目に関しては、トップ校では80~90点の争いになってきます。今までやってきたことの最後の発表の場となるように、事前に模擬試験ベースの練習をしていくことで、本番の緊張感がやわらぐかもしれません。

 常に意識してほしいのは、模擬試験の結果などでクヨクヨする前に、この後できることを考えることです。公立高校は時期的にシーズン最後の入試になるので、私立で確約併願をしている場合、自信をもって臨んでください。

 公立高校は2日、最長で3日間入試がありますが、全部が終わるまでは終わったことは振り返らないで、次の科目を考えること。よく生徒に言うことは「当日だけは合間の時間での答え合わせ禁止」ということです。少しでも先のことを考えて臨むのが良いと思います。

--ありがとうございました。

◆2016年神奈川県公立高校入試スケジュール
 願書受付:2016年1月28日~2月1日
 志願変更:2016年2月4日~8日
 学力検査:2016年2月16日
 面接・特色検査:2015年2月16日~18日(各校指定の日に実施)
 合格発表:2016年2月29日

 

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